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カタルシス(嬴政×信)後編

キングダム カタルシス2 嬴政 信 政信
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  • ※信の設定が特殊です。
  • 女体化・王騎と摎の娘・めちゃ強・将軍ポジション(飛信軍)になってます。
  • 一人称や口調は変わらずですが、年齢とかその辺は都合の良いように合わせてます。
  • 嬴政×信/漂×信/嫉妬/無理やり/ヤンデレ/All rights reserved.

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

前編はこちら

 

失踪

政務をこなしていると、扉の向こうで何やら騒がしい物音がして、嬴政は目を通していた書簡を置いた。

扉の前にいる衛兵から事情を聞くと、信の看病に当たっていた侍女が訪れたようだった。信に何かあったのかと嫌な予感がして、嬴政はすぐに侍女の話を聞いた。

安静にしているよう、あれだけ口酸っぱく言っておいたはずなのだが、様子を見に部屋に訪れると彼女の姿がなかったというのだ。

まだ寝具は温かく、恐らく咸陽宮内にはいると思われるが、もしかしたら勝手に屋敷に帰ってしまったかもしれない。

看病の役割を命じられておきながら、信の姿を見失ってしまったことを侍女は処刑を覚悟される勢いで謝罪し、嬴政に床に額を擦り付ける勢いで頭を下げた。

「いや、こうなることは予想していた。顔を上げてくれ」

急ぎ、信が厩舎に馬を借りていないか確認するように衛兵に指示を出し、嬴政は立ち上がった。

王騎の屋敷に戻る前に、彼女は必ず寄る場所がある。咸陽宮に訪れた時には必ず立ち入るのだから、今回もそうに違いない。その心当たりを頼りに、嬴政は部屋を飛び出した。

彼女から「預かっていて欲しい」と頼まれた王騎の形見でもある宝刀。咸陽宮に来た時、それを管理している部屋に、信は必ず立ち寄るのだ。

信が大将軍になってからも自分の実力を鼻にかけることなく、鍛錬を欠かさないのは、いつかはあの宝刀を使って戦に出るためだ。

今の強さがあっても、持ち上げるのがやっとなのだと信は悲しそうに笑っていた。それだけ父である王騎の存在は、信の中で大きいものであったし、いつか超えなくてはならない存在でもあった。

毒を受けて眠っていた時期が長かったため、もしかしたら今は宝刀を持ち上げることすら出来なくなっているもかもしれない。

もしそうだとしたら、信は確実に自分の命令を無視して屋敷に帰るだろう。そして、まだ毒の残っている体でも構わず、休んでいた分の遅れを取り戻そうと鍛錬を始めるに違いない。

 

王騎の宝刀が置いてある部屋に辿り着くと、嬴政は普段の冷静さを欠いたように、力強く扉を開けた。

案の定、信はそこにいて、嬴政の姿を見て驚いている。寝台の上で横たわる姿ではなく、二本の足で立っている彼女を見るのは久しぶりのことだった。まだ熱が出ているせいで、顔が赤い。

背中に剣を携えているのを見て、やはりこの部屋を出たら屋敷に戻るつもりだったのだと嬴

政は彼女の逃亡計画を察した。

「え……?なんで、ここに…」

「―――」

嬴政の姿を見た信が、漂の名を呼んだ。まさかまだ毒のせいで、記憶が混在しているのだろうか。

 

命令

少し間を置いてから、信が青ざめる。

「あ…!まさかお前…!漂じゃなくて、政か…?」

腕を組み、嬴政はわざとらしく大きな溜息を吐いた。

「…大王である俺の命に背いたな」

処刑に値すると脅し文句を掛ければ、信は身の潔白を示すように両手を上げた。

「わ、悪い…!でも、もう大分動けるようになったから…」

「どこがだ」

嬴政は信の腕を掴む。掴んだ腕は熱く、顔も赤い。まだ体から熱が引いていないことは一目瞭然だった。

無理をして体内に残っている毒が悪さをしたらどうするのだと、嬴政は信を睨み付ける。ばつが悪そうに、信は嬴政から目を逸らしていた。

反省している様子がまるで感じられず、嬴政の胸に苛立ちが広がっていく。

「…動けるというなら、その宝刀を振るうことくらい容易いだろう」

「え?」

嬴政が信の腕から手を放す。そして、王騎の宝刀を指さした。

「その宝刀を容易く振るうことが出来るほど回復したというのなら、屋敷へ帰還する許可を出そう」

「なッ…!」

卑怯な条件を提示したことは、嬴政自身も自覚があった。

病み上がりで、それまでずっと休んでいた信がこの重い宝刀を振るうことなど出来るはずがない。

病み上がりでなかったとしても、振るうことなど出来ず、持ち上げるのがやっとだったのだ。嬴政が提示した条件は、信にとって不可能なものであった。

時折、自分の実力を過信することがある信だが、さすがに嬴政が出した条件を達成するのは

不可能だと分かっているようで、宝刀を握ろうともしない。

恐らく嬴政が来る前に触れていたのだろうが、ずっと療養していたことで、筋力が衰えてしまった今の信では、持ち上げることも叶わなかったのだろう。

悔しそうに奥歯を噛み締める彼女を見て、嬴政の胸に罪悪感で針を突かれたような痛みが走る。

それでも、嬴政は発言の撤回をしなかった。これは信のためだと痛む良心を庇うように、自分に言い聞かせた。

「…あと数日の辛抱だ。体から毒が抜け切るまでは安静にしていろ」

諭すように言葉を掛けると、信は噛み締めた奥歯をそのままに首を横に振った。まるで駄々を捏ねる幼子のような態度に、嬴政は呆れてしまう。

「信、聞き分けろ」

低い声で名前を呼ぶと、信は視線すらも合わせたくないのか、俯いてしまう。

困った嬴政が肩を竦めていると、俯いていた信がぎゅっと拳を握ったのが分かった。

「…漂なら、仕方ないなって言ってくれるのに…」

今にも消え入りそうな声で信が呟いたのは、自分以外の男の名前だった。不機嫌になった信は口を尖らせて、黙りこくる。

毒のせいでまだ記憶が混在しているとはいえ、ここまで他の男の名前を、しかも自分と比較するように出されると、さすがに腹が立つ。

もしも漂が死んでいるという周知の事実を信に告げれば、彼女は泣き叫ぶだろうか。今は毒のせいで記憶が混在しているだけで、いずれは再び受け入れなくてはならない事実だ。

彼女の中で、漂という存在はまだ深く根を張っている。嬴政はそれが妬ましかった。

自分の影武者として暗殺された事実を知った時も、信は泣いて取り乱していたし、いつまでも漂の存在が信の心に刻まれたことを憎らしくも感じていた。信と漂と手合わせをしている姿や、仲睦まじく話している姿を見て苛立っていたことを思い出す。

そうだ。既にあの時から自分の心は信を求めていたのだ。そして、今でも自分は信のことを想い続けている。

―――気づけば、嬴政は再び彼女の腕を掴んでいた。

 

大王の伽

「…来い」

「えっ、な、なんだよっ?」

強引に腕を引っ張りながら、嬴政は宝刀を収められている部屋を後にした。廊下を出ると、大王自ら信の腕を引っ張って歩いている姿に従者たちが驚いている。

その視線を浴びた信は狼狽えていた。

「政っ、放せって!変な噂でも立てられたらどうするんだよッ」

「うるさい」

信の言葉を一蹴し、嬴政は彼女を引き摺るように歩き続けた。信が療養に使っていた部屋に着くと、中で掃除をしていた侍女が驚いた顔をする。

「誰もここに近づけるな」

低い声で命じると、侍女も何かを察したのか、慌ただしく部屋を出ていく。

強引に信の体を寝台の上に投げつけると、背中を強く打ち付けた信が苦しそうにむせ込む。

「なに怒ってんだよッ、意味わかんねえ」

信が嬴政を睨み付ける。嬴政は何も答えずに、信の体に馬乗りになった。組み敷かれる形になった信が、戸惑ったように視線を泳がせる。

「ど、退けよ…!」

嬴政は何も言わずに信の着物に手を掛けた。帯を外そうとしている嬴政に、信はぎょっとした表情を浮かべる。

慌てて嬴政の手を抑えながら、信は何を考えているんだと怒鳴った。嬴政は顔色一つ変えず、信の目を真っ直ぐに見据えると、静かにその口を開く。

「大王命令だ。伽を命じる」

「…は?」

何を言っているのか分からないといった顔で、信が嬴政を見つめている。しかし、嬴政はわざわざ言い直すことはせず、信の両手を払いのけて彼女の帯を解いた。

「お、おいッ!お前、俺を後宮の女と勘違いしてんのか!?」

帯に続いて着物の衿を開かれそうになり、信は両手で強く着物を押さえ込んだ。

「何を言っている。お前は大将軍で、俺の金剛の剣だ」

冷静に堪える嬴政に、信は頭痛がした。

「なんで俺がお前の伽の相手なんてしなきゃならねえんだよ!?後宮にはお前のために足を開く女がごまんといるだろうがッ!」

正論を告げたはずなのに、嬴政は少しも引く気配を見せない。それどころか信の言葉を無視して襟合わせを開こうとする。

「俺に逆らうのなら、今この場で大将軍の座を解き、伍長に戻す」

「はあぁッ!?」

信じられないといった顔で、信が悲鳴に近い声を上げた。憤慨したように、信は嬴政の体を突き放そうと腕を動かす。

「抵抗は大王である俺に逆らうのと同じことだぞ」

突き放そうとしていた両手がまるで術でも掛けられたかのように動きを止める。うぐ…とくぐもった声が、信の食い縛った歯の隙間から洩れた。

「それでいい」

ようやく大人しくなった彼女の襟合わせを開くと、さらしで包まれた胸が現れる。

医師団の治療を受けていた時には呼吸を圧迫する理由で外されていたようだが、さらしが巻かれているということは、彼女が屋敷に帰ろうと準備をしていた何よりの証拠である。

さらしを外そうとした嬴政を、信が悔しそうな瞳で睨み付けていた。

嬴政が秦王という立場でなければ、今頃は信に気を失うまで殴られていたに違いない。

「…生意気な瞳だな」

「生まれつきだ!」

目つきが悪いのは元々なのだから仕方ないと信が訴える。

初めて出会った時も確かこんなやりとりをしたことを思い出す。

弟の成蟜に暗殺を仕向けられ、側近である昌文君が嬴政を逃がした時も、信は彼の護衛についた。秦の怪鳥である王騎の娘であると知ったのは、嬴政が成蟜から政権を取り戻した時である。

質の悪い着物と、女とは思えないみすぼらしい恰好と礼儀知らずな態度から、下賤の出てあることは分かっていたが、まさか王騎と摎の養子だとは思わなかった。

腕を見込んで引き取られたらしいが、信の協力がなければ嬴政は成蟜の配下に殺されていただろう。

嬴政の側近である昌文君を逃がし、彼を殺したのだという偽装工作をしたことも、信に嬴政の護衛をさせたのも、すべては王騎の指示である。

それは嬴政を助けるという目的ではなく、嬴政が秦王の器に相応しい男であるかを見抜くためだった。

信が嬴政の護衛についたのは父に命じられたからではなく、友である漂の仇を討つためであり、初めの内は「お前さえいなければ漂は死なずに済んだ」と罵倒されたものだった。

互いに下賤の出であることから、咸陽で出会った信と漂はすぐに気が合い、兄妹のように仲を深めていたらしい。

大将軍になることを目指していた漂は独学ながら剣に覚えがあり、王騎と摎の娘である信も両親と同じ大将軍を目指していたことも、気の合った理由だろう。

幾度となく剣をぶつけ合い、夢のためにお互いを激励し合ったあの日々は、信の中ではいつまでも色褪せぬ思い出として残っている。

嬴政が政権を取り戻してから、信もたちまちその武功を中華に広めていった。彼女が漂の意志を継ぎ、大将軍の座に就くまではそう長くはかからなかった。

彼女はこれからも漂の意志を継いで、大将軍として戦っていくのだろう。それが、嬴政を気鬱にさせた。

 

大王の伽 その二

さらしを外すと、他の肌と同じで傷だらけの胸が現れた。

致命傷になりかけた深い傷から浅い傷まで、数多くの傷が刻まれている。彼女が死地を乗り超えて来た勲章でもあるそれを、嬴政は一つ一つ指でなぞった。

小さなものから致命傷となりかけた大きな傷まで、嬴政は飽きることなく指を這わせていく。

普段は着物で隠されている傷跡だが、こんなにも多いとは思わなかった。

この胸に渦巻いているのが嫉妬の感情であることを、嬴政は確かに感じていた。

「ぅ…」

彼女の首筋に顔を寄せ、嬴政は思い切り噛みついた。武器でつけられたものではなく、他の誰がつけたものでもなく、自分だけの痕を刻みたくて堪らなかった。

歯形が残った首筋に舌を伸ばすと、ぬるりとした感触に信が、ひっ、と小さな声を上げる。

幼い頃から大将軍を目指し、幾度も死地を駆け抜けて来た彼女には男の経験などなかったのだろう。身を固くしている信に、嬴政は思わず安堵した。

「…俺は、こんな最低な男に仕えるなんて、誓った覚えはねえよ…」

泣きそうな声がして、嬴政は顔を上げた。うっすらと涙を浮かべた弱々しい瞳が、嬴政を睨んでいた。

「俺はお前の、金剛の剣だろ?…それを今さら鞘に戻そうってのか?」

今さら何を言われてもやめるはずがないと分かっているだろうに、情に訴えかけて来た信に、嬴政は思わず苦笑する。

「…お前が手に入るのなら、卑怯だと罵られても良い。俺は大王としての権限を利用させてもらう」

信は一瞬だけ体のどこかが痛んだような表情を浮かべる。しかし、嬴政から顔ごと目線を逸らし、好きにしろと言わんばかりに目を伏せたのだった。

それはまるで、もう以前の関係には戻れないのだという諦めの表情だった。嫌悪と軽蔑も含まれている態度から、嬴政の胸は針で突かれたようにちくりと痛む。

だが、今さら身を引いたところで何も変わらない。体を組み敷いた時点で、戻れぬ場所まで進んでしまったことを自覚していた。

「っ…ん…」

唇を重ねると、信の体が強張った。彼女と唇を重ねるのはこれが初めてではなかったのだが、あの日、水を飲ませたことはもう信は覚えていないだろう。

―――…漂、今日は政の格好してんだな。綺麗だ。

もしかしたらあの時の信は、水を飲ませてくれたのは嬴政ではなく、漂だと思っていたのかもしれない。

いつまでも彼女の心に巣食っている漂に、嬴政は憎しみさえ覚えた。影武者として命を奪われた彼のことを想えばこそ、そのような負の感情を向けるのは間違いだと分かっている。

それでも、嬴政は貪欲なまでにこの女を手に入れたいと思っていた。

唇を重ねながら舌を差し込むが、信の舌が応えることはない。

他の女性ならば喜んで舌を絡めて足を開くだろうに、今の信は誰が見ても心を閉ざしていることが分かる。

逃げ出さないのは相手が自分だからだろう。嬴政が秦王という立場でなければ、全力で殴られていたに決まっている。信はただ命令に従っているだけだ。

早く終わらせてくれと言わんばかりの態度に、嬴政は嫌がらせのつもりで時間をかけてやろうと考えた。

どうせもう元の関係には戻れないのだ。

 

新たな関係

「ん…」

口づけを終えてから、嬴政は首筋に再び唇を寄せた。

先ほどの歯形が残っていた箇所に強く吸い付き、赤い痣をつけていく。着物で隠れない箇所に痕を残すのも、嫌がらせの一つだ。

「ぅ…」

胸の膨らみに手を伸ばすと、信がたじろいだ。

男だったのなら筋肉に固められた厚い鎧になっていただろう、そこは程良く柔らかい。

掌で柔らかさを感じながら、中央にある突起を指で擦ると、信が唇をきゅっと噛み締めたのが分かった。

「ふ、…んぅ…」

二本の指で挟んだり、擦ったりしていると、信が自分の口元を手で押さえていた。右手の甲を唇に押し当てて、声が出ないように蓋をしている。

気持ち良さそうな表情には見えなかったが、初めての感覚に戸惑っているのだろう。

身を屈めた嬴政が指で弄っていたそこに舌を伸ばすと、目を見開いた信が蓋をした唇を戦慄かせていた。

上目遣いでその表情を眺めながら、嬴政は尖らせた舌で胸の突起を愛撫した。

「ッ…ぅう…」

上下の唇で挟んで吸い付く。信のくぐもった声に決して嫌悪の声が含まれていないことが分かると、嬴政は突起を押し潰すように舌を這わせた。蓋をした口では呼吸が出来ず、鼻息が荒くなっている。

緊張で体を強張らせている彼女の姿に、嬴政は欲情していた。

他でもないこの自分が彼女を女にさせるのだと思うと、醜い独占欲に胸がはち切れんばかり膨らんだ。

「するなら、さっさとしろよ…!」

経験はないとはいえ、何をされるかは信もさすがに分かっているのだろう。

前戯は不要だと睨み付けられるが、うっすらと涙を浮かべた瞳と羞恥に赤くなっている顔では男を煽るだけだという知識はないらしい。

「…こんな時でも、お前は無粋なことを言うのだな」

もう嬴政と視線さえ合わしたくないのか、信は顔を背ける。

彼女の膝裏に手を回し、大きく足を開かせると、信の瞳に僅かに怯えが浮かんだ。

「う…」

両足の間にある花襞を押し開き、淫華に指を這わせても、少しも濡れていない。反対に、嬴政の男根は勃起しきっていた。

男根の先端を淫華の割れ目に宛がう。ひゅっ、と信が息を飲んだのが分かった。

言葉には出さないが、怯えた瞳は「やめてくれ」と訴えている。しかし、煽ったのは信の方だ。破瓜の苦痛を覚悟して言ったに違いない。

どうあがこうが、破瓜の苦痛は避けられないのだ。

「いくぞ」

腰を進めると、狭くて固い淫華がみちみちと押し広げられていく。

「ぅッ、ううッ…!」

苦悶の表情を浮かべながら身を捩って逃げようとするので、嬴政は彼女の細腰を両手で押さえつけた。

狭い道を押し進めていくと、信が歯を食い縛ってその身を大きく仰け反らせていた。敷布を掴んでいる両手は白くなるほど力を入れているらしく、ぶるぶると震えている。

繋がっている部分から、何かがぶつりと弾けた感覚を感じた。嬴政は信の破瓜を実感する。
痛みのあまり、信の顔は青ざめていたが、構わずに奥まで貫いた。

視線を下に向けると、繋がっている部分から血が滲んでいるのが見えた。処女を奪ったのだと実感が湧き、嬴政の胸にあった独占欲はようやく優越感へと変わっていく。

きつく閉ざした瞳から涙が溢れ出ている。嬴政は身を屈めて、その涙さえ逃がすまいと舌を伸ばした。

前戯で淫華に蜜を溢れさせてから貫けば、多少は痛みが和らいだかもしれない。大人しくその身を委ねたのならば優しくしてやったものを。

「ぅう…うぐぅッ…」

根元まで男根が埋まると、食い縛った歯の隙間から、信が苦痛に塗れた声を洩らしていた。

「信」

名前を呼ぶが、返事をする余裕も目を開ける余裕もないのか、彼女はきつく歯を食い縛り続けていた。

狭い道を押し開いた後も、きつく男根を締め付けている其処は血の涙を流しているのだ。苦痛は簡単には遠のかないだろう。

すぐにでも腰を動かしたい自分を戒めるように、嬴政は彼女の体を抱き締め、唇を重ねた。敷布を掴んでいる手を掴み、指を交差させ合う。

傍から見れば、それは恋人同士のような、夫婦のような情事だった。しかし、実際には違う。これは秦王という立場を利用した凌辱だ。

もしも時間を掛けて彼女の体を丁寧に解していき、愛を囁いていたのなら、信も心を開いてくれたのだろうか。

…それはきっと無理だろう。嬴政は切なげに眉根を寄せた。

信の心の中に巣食う漂が消えない限り、きっと信は自分を男として求めることはないのだ。

いっそ自分を漂の代わりとして扱ってくれたのなら、偽りの愛だと分かっていても、信が自分だけを見てくれる幸福感に身を委ねていたのかもしれない。

だが、信に漂と名を呼ばれた時に、嬴政は憤怒した。代わりでは駄目なのだ。

秦王であり、一人の男として、嬴政という存在を受け入れてくれなければ、何の意味もない。

信の処女を奪っても、満たされたのは独占欲だけで、その先にある心の渇きはいつまでも満たされないままだった。

それが嬴政にはどうしようもなく苦しくて、その苦しみを誤魔化すために、信の体を抱き締めながら律動を送った。

「ぅああっ、い、いたぃっ、やだっ、やめろッ」

敷布の上で絡ませていた指が嬴政の手の甲に爪を立てる。挑発的な態度を取ったくせに、痛みに耐え切れなかったらしい。

泣きじゃくりながら首を振って懇願する今の信は、ただの弱い女でしかなかった。

秦王である自分のために足を開く女など数え切れないほどいるというのに、嬴政は目の前のたった一人の女に恋い焦がれていた。

自分の全てを捧げたい、彼女の全てを奪ってやりたいという醜いまでの欲望に、がむしゃらに腰を動かした。

―――お前は永遠に俺のものだ。

心の中でそう叫びながら、何度も男根で彼女の体を突き上げる。信が泣き叫んでも嬴政は決してやめなかった。

絶頂が近くなって来て、嬴政は息を切らしながら信の唇に舌を伸ばす。

「秦国一、いや、中華一、高貴な種だぞ。その身で受け取れ」

耳元で囁くと、涙で濡れた瞳が大きく見開いた。

「やっ、やめ…」

「お前の意志は聞いていない。その身で受け入れろ」

青ざめた信が身を捩ろうとするよりも先に、嬴政は彼女の体を両腕できつく抱き締める。

汗にまみれた肌を重ねながら、嬴政が食い縛った歯の隙間から呻き声を洩らすと、信が大きく喉を反らせて悲鳴を上げた。

信が必死に逃れようと腕の中で暴れるが、嬴政はそれを許さなかった。男根の切っ先から熱い精液が迸り、何度かに分けて信の腹に子種を植え付ける。長い射精だった。

終わってからも、嬴政は信の体を抱き締めたまま離さないでいた。

「ぅっ…ふ、ぅ…」

腕の中からすすり泣く声が聞こえる。

泣き顔を見られまいとしているのか、それとも、もうお前の顔など見たくないと思っているのか、両腕を顔の上に乗せて信は泣いていた。

罪悪感などとっくに忘れていたのだが、その弱々しい姿を見て、嬴政の胸がちくりと痛んだ。

「…信」

慰めるように頭を撫でてやると、その手を払われ、真っ赤に腫らした瞳で睨みつけられる。

罵声を浴びせることも殴りつけることもしないのは、まだ彼女が自分に仕えている将軍であることを忘れていないからなのだろうか。

嬴政は他人事のようにそう考えて、信と唇を重ねた。

「ッ…!」

舌を差し込むと、信が泣きながら歯を立てて来る。罵声を浴びせたり、殴りつけたりはしないのに、些細な抵抗をする気力は残っているようだ。

嬴政の口元に笑みが浮かぶ。

「―――やはり、お前を大将軍の座から降ろすことにしよう」

そう告げると、信が瞠目した。

「俺の子を身籠ったのなら、いずれは降りねばならんだろう。それに、今日から俺の后になるのだから、面倒なことは早く済ませた方が良い」

青ざめた信が唇を戦慄かせる。

自分でも卑怯なことを言っているのは、嬴政も理解していた。それでも信を誰にも渡したくないこの気持ちは決して揺るがないし、きっとこれからも変わらないだろう。

彼女が自分に二度と笑顔を見せなくなったとしても、信が漂の存在を忘れないように、嬴政も信を手放すことはない。

嬴政の意固地な性格を、信はよく知り得ている。諦めるしかないと、いずれは理解することだろう。