- ※信の設定が特殊です。
- 女体化・王騎と摎の娘・めちゃ強・将軍ポジション(飛信軍)になってます。
- 一人称や口調は変わらずですが、年齢とかその辺は都合の良いように合わせてます。
- 李牧×信/シリアス/馬陽の戦い/秦趙同盟/IF話/All rights reserved.
苦手な方は閲覧をお控え下さい。
前編はこちら
交わり
李牧が信の身体を組み敷いた後、思い出したように彼女は目を開いた。
「言っとくが、生娘じゃないからな。変な気遣いはするな」
「そうでしょうね」
即答した李牧に、信が眉根を寄せる。
「…いくら逆らえない命令だからと言って、こんなにあっさりと身体を差し出す女性が生娘だと思う方が難しいでしょう」
よほど肝が据わっている生娘だったとしても、初めて男に肌を曝け出す態度には見えなかった。
理由を聞いた信が、納得したように薄く笑んだ。
「…本当なら、私ではなくて、大切な人に捧げたいのではないですか?」
そう問いながらも、李牧は信の首筋に舌を這わせる。くすぐったそうに顔をしかめて、信が首を横に振った。
「そんなの、必要ない」
恋人と呼べる男も、身を捧げたいと思う男も信は不要だと告げた。女としての幸せに興味がないという彼女に、李牧は目を細める。
ならば誰にその純血を捧げたのかと尋ねるのは野暮というものだろう。
彼女の将としての才能を、李牧も認めていた。馬陽の戦いの奇襲は予想を超えるものだったし、まさか信自らが趙兵に扮して本陣に潜入していたことに、李牧が素直に称賛を贈ったほどだった。
彼女を手元に置くことが出来れば、今後の戦況は大きく揺らぐだろう。この中華の未来に影響すると言っても過言ではない。それほど秦国に信の戦力は欠かせないのだから。
「…もしも、私の子を孕んだら、有無を言わさずに趙へ嫁がされるのですよ?」
扉の向こうにいるであろう聞き役に届かぬよう、李牧は小声で問いかけた。
真剣な眼差しを向けられても、信は表情を変えない。それどころか、彼女はまるで甘えるように両腕を伸ばし、李牧を包み込んだ。
そっと頭を抱き寄せると、信は李牧の耳元に唇を寄せ、
「…孕んだら、少しくらいはお前のことを好きになってやれるかもな」
妖艶な笑みを口元に携えながら、そう囁いた。
紅で瑞々しく染まった唇が李牧の耳に押し当てられると、くらりと眩暈がした。
李牧の伽をしろという呂不韋の指示に従ったのは、仲間を守るためだ。しかし、今の信は嫌々従っている素振りは少しもない。
むしろ挑発的な視線を向けられ、李牧は思わず生唾を飲み込んだ。
李牧の骨ばった手が信の形の良い胸を包み込む。
「っあ…」
柔らかい感触を手の平いっぱいに味わいながら、傷だらけの肌に吸い付くと、信が僅かに声を上げた。
目も当てられぬような惨い傷痕もあるというのに、信の肌を美しいと思った。
若さゆえの艶があるのはもちろんだが、傷だらけの肌は彼女の生きた証そのもので、李牧の胸を震わせた。
「男って…傷、舐めるの好きだよな」
目を逸らしながら呟いた信の言葉に、李牧は思わず動きを止める。
信が生娘じゃないことは彼女自身が話していたし、武器を所持していないことを示すために、恥じらいもなく堂々と着物を脱いだ態度からそれは李牧も分かっていた。
しかし、自分と同じようにこの傷痕に舌を這わせた男がいるのだと思うと、嫉妬の感情が沸き上がって来る。
一人なのか、それとも複数の相手と寝たことがあるのか、他の男の前ではどのような表情をして喘ぐのだろう。自分は信のことを何も知らないのだと、改めて思い知らされた。
もちろんそれは敵対する立場としては当然のことなのだが、今はこんなにも傍にいるというのに、なぜ信のことを何も知らずにいたのだろうと李牧は自分自身に苛立ちを覚える。
馬陽の戦いで出会ったあの時、逃がさなければ良かったという後悔さえ覚えた。
「っ…」
右手に刻まれたあの日の傷痕が、疼くように痛んだ。
軍師の正体
「…李牧?」
李牧の顔つきが変わったことに、信は眉根を寄せた。なぜ彼が苛立ちを見せているのかが分からないらしい。
それは当然だろう。敵の宰相が自分を抱いた男に嫉妬の感情を抱いているなど、一体誰が想像出来るだろうか。
束の間、前髪で表情を隠した李牧が唇を固く引き結ぶ。
「…伽を命じられたのなら、その責務を果たしてください」
顔を上げた李牧の声は、まるで刃のように冷え切っていた。信は狼狽えて身体を強張らせる。
李牧は自らの帯を解くと、乱暴に着物を剥いだ。
「え…?」
現れた李牧の肌に信は瞠目した。室内を照らしている蝋燭の明かりだけでも、李牧の肌は自分と同じように傷だらけであることが分かった。
着物で隠れていた彼の身体は、筋肉で固く引き締まっている。その強靭な肉体を見れば、軍師ではなく将軍として戦に出ていると言っても誰もが納得するほどだった。
信が李牧の身体を凝視していると、彼は肩を竦めるように笑った。
「あなたの養父を討った軍師に、ようやく興味が湧きましたか?」
「………」
挑発するような視線を向けられるが、信は言葉を喉に詰まらせていた。驚愕のあまり、声が喉に張り付いて出て来なかったのだ。
机上だけで軍略を学んで来た男とは思えない。この傷と筋肉は、実際に戦場に出て、そして多くの血を流し、作り上がった身体だ。
幾度も死地を駆け抜けている信はすぐに分かった。この男は恐らく、自分の比じゃないほどの死地を生き抜いて来たのだろう。
まさか李牧がこんな強靭な肉体の持ち主だとは思わなかった。
着物で隠れていただけとはいえ、隠し切れていない只ならぬ才の持ち主である理由もここにあるような気がした。
そして、自分は今からこの強靭な肉体を相手にしなくてはならないのかと信は僅かに冷や汗を浮かべる。
「信」
名前を呼ばれて、はっと我に返った。
それまで信の身体を組み敷いていた李牧が身体を起こす。
「えっ…ぁ…」
寝台に横たわっていた体を起こされ、信は李牧の腕の中に閉じ込められていた。
致命傷になり得たであろう深い傷の刻まれている胸に顔を埋める形になり、信は思わず息を詰まらせる。
優しくしろと言ったのは確かに信の方だが、急に抱き締められたことで驚いてしまったのだ。
「放せッ…」
両腕を突っ張って抵抗を試みるが、李牧の両腕はしっかりと背中に回されていて、離れる気配がなかった。
「逃げても構いませんが、仲間の首が掛かっているのでしょう?」
「………」
からかうように囁かれ、信はぐっと奥歯をきつく噛み締める。
逃げ道がないことは分かっていたし、仲間たちを助けるために身体を差し出すことを決めたのも自分自身だ。
信は瞼を下ろすと、覚悟を決めろと自分に言い聞かせ、長い息を吐いた。
情事 その一
腕の中にいる信が観念したように息を吐いたので、李牧は思わず苦笑を浮かべてしまった。
今の信の表情には先ほどのような余裕の笑みが一切ない。自ら着物を脱いで迫って来る勇敢さは、やはりただの強がりだったのだろう。
生娘でないとしても、浅ましく性に狂っている女ではないし、何より相手が敵の宰相、そして養父の仇なのだから嫌悪感を抱くのは当然だ。
それでも彼女が自分の本音を押し殺してまで李牧に身を委ねるのは、他の誰でもない仲間たちの命を救うためであり、それ以上でもそれ以下でもない。
「さっさと終わらせるぞ」
何ともないように冷静な顔を繕っているものの、その声は僅かに震えていた。
一度寝台から降りると、信は李牧の足の間に身体を割り入れる。迷うことなく彼女の手は李牧の男根に伸ばされた。緊張しているのか、指先が冷えている。
信は頭を屈めると、僅かに上向いている男根に赤い舌を伸ばした。
指先と違った生暖かい感触が敏感な亀頭部に染みて、李牧は僅かに眉根を寄せる。
亀頭部だけでなく、陰茎や裏筋にも舌を這わせられると、背筋に戦慄が走った。
「ん…」
上下の唇で先端を大きく咥えられる。
ねっとりとした温かさに包まれ、あまりの気持ち良さに李牧は喉を引き攣らせた。
輪っかを作った指で根元を、頭を動かして唇で陰茎を扱かれる。緊張しているのは分かったが、躊躇う様子がないことから、こういった行為には慣れているのだろう。
男を喜ばせる術を知り得ていることに、きっと彼女を抱いた男が教え込んだに違いないと思った。
顔も名も知らぬ男を、あるいは複数の者たちに憎しみを覚える。それが嫉妬であることに、李牧はまだ気づいていなかった。
「ん、っん…」
信が男根を咥えたまま、頭を動かし始める。
口内のねっとりと包み込まれる感触が堪らない。完全に勃起した男根を口いっぱいに頬張っている信が苦しそうに眉を寄せていた。
口の中だけでもこんなに快楽が押し寄せて来るというのに、彼女の淫華で男根を抽挿すれば、どれだけの極上の夢を見せてくれるのだろう。
涎じみた先走りの液をちゅうと吸った後、信は一度男根から口を離し、軽く息を整えていた。
「むぅ、ぐ…」
苦痛が増すのを知りながら、信は李牧の勃起し切った大きな男根を深く咥え込んだ。狭い喉奥がきつく男根を締め付けて来る。
「ッ……」
喉を使って愛撫されるのは初めてだったのだが、あまりにも強い刺激に、李牧は歯を食い縛った。
「はあ、はあ…」
物理的に呼吸が遮られて苦しくなったのだろう、顔を真っ赤にした信が呼吸をするために口を離す。
粘り気のある唾液の糸が彼女の唇と男根を紡いでいた。うっすらと涙を浮かべた瞳に見上げられ、李牧は思わず息を飲む。
そうだ。この瞳だ。
馬陽の戦いで、王騎の死を知らされた時に信が見せた瞳。男の征服感を煽る彼女の瞳に、李牧は魅入られていたのだ。
「んぅ…く…」
息が整うと、彼女は再び男根を喉奥まで咥え込んだ。
えずかないよう、ぎりぎりのところを見極めて、それでも深く喉奥まで男根を呑み込む。
唇や舌だけではなく、喉までも男を喜ばせる道具として調教されたのだろうか。
彼女にこんな淫らな技を仕込んだ男が、自分に伽をするよう命じた呂不韋でないことを祈りながら、李牧は彼女の髪をそっと撫でた。
「ッ、んん…!」
男根を強く吸い上げながら、信が頭を前後に動かす。根元を握っている指も動かし、隙間なく男根を愛撫される。
亀頭と陰茎のくびれの部分を上下の唇で優しく食まれ、李牧は思わず息を洩らした。
口の中での射精を促そうと、眉根を寄せながら信が口淫を続ける。彼女が頭を動かす度に卑猥な水音が部屋に響き渡る。
あまりの気持ち良さに膝が笑い出した。寝台に腰を下ろしていなければ、力が抜けていただろう。
「ッん、んうぅ…!」
信の後頭部に手を添えて、深く喉奥に男根を咥えさせると、苦しそうな声が上がった。気道を塞がれれば誰だって苦しいものだ。
しかし、女の喉がこんなにも柔らかくて気持ちが良いものなのだと知って、夢中にならない男はいないだろう。
足の間に顔を埋めている信が顔を真っ赤にさせている。
生理的な涙を浮かべてこちらを見上げて来る信と目が合った。
まるで許しを乞うような弱々しい表情に、李牧の心がぐらりと揺れた。欲情したというのが正しいだろう。
目を開けているのに、視界が一瞬白く染まる。
全身に戦慄が走り、李牧は腰を震わせた。子種が勢いをつけて尿道を駆け巡っていく。
「……、……」
彼女は目を閉じて、口の中に放出される子種を舌の上で受け止めていた。
絶頂の余韻に浸りながらも、李牧は褒めるように信の頭を撫でてやった。
情事 その二
射精を終えた後も、信は男根を咥えたままでいた。
まだ喉を動かしていないことから、口の中に子種を溜めているのが分かった。
「ぅ、ぅん…っ」
薄く目を開いた彼女が、尿道に残っている子種をちゅうと吸い上げる姿に、李牧は瞠目する。
「…信、吐き出してください」
息を整えながら李牧が囁くと、信がゆっくりと男根から口を離した。
軽くむせ込みながら、口の端から李牧の精液を滴らせる彼女の姿は、淫靡としか言いようがない。
「信」
未だ自分の足の間に座り込んでいる信の手を引いて抱き上げる。
二人で寝台に倒れ込むと、甘えるように信も李牧の背中に腕を回してくれた。
「ふ、ぁ…」
李牧は彼女の唇から滴る己の精液を指で拭ってやった。口の中にも指を入れ、唾液に絡んでいる精液を掻き出す。
先ほどまで自分の男根を咥え込んでいた唇に、李牧は迷うことなく唇を重ねた。
「っ、んん、ぅうっ…」
舌を差し込むと、信が切なげに眉根を寄せて舌を絡めて来る。
それが他の男に仕込まれた術なのか、それとも純粋に自分を求めてのことなのか、李牧には分からなかった。
口づけを交わしながら、信の足の間に指を忍ばせると、そこは既に蜜を垂れ流していた。まさか男根を咥えながら感じていたのだろうか。
「っあ…!」
先ほど精液を拭った指で入り口を擦ると、信の身体がぴくりと跳ねる。花びらを掻き分け、蜜の滑りで難なく指が入り込んでしまった。
「っんん、ぁ、はぁ…」
信が口で受け止めた精液を塗り付けるように、李牧は柔らかい肉壁に指を擦り付ける。
(本当に孕ませてしまおうか)
卑怯だという自覚は十分にあった。彼女を戦場から遠ざけるには、趙へ連れていくには彼女を妻にするのが手っ取り早い。
信に後ろ盾がないことは分かっているが、秦王嬴政との強い信頼関係で結ばれているのは少々厄介だ。
だからこそ、彼女と婚姻を結ぶのならば、裏で大きな根を張っている呂不韋の今の権力が失墜する前に行う必要がある。
「ぁあっ、ん」
一番奥にある子宮の入口を指の腹で引っ掻くと、信の身体が大きく跳ねたので、何度もその個所を愛撫してやった。
僅かな凹凸を感じ、こんな狭い場所から赤子が頭を掻き分けて生まれて来る思うと不思議でならなかった。
指を引き抜いてから起き上がり、李牧は彼女の両膝を大きく開かせた。両脚の間に身体を割り入れる。
他の男によって使い込まれているだろう淫華にはくすみがなかった。口を閉じている花びらの隙間から蜜が伝っている。
二本の指で花びらを左右に広げると、艶めかしい薄紅色の粘膜が現れた。男を惑わせる魅惑の淫華の一番美しい部分である。
「っ、う…ぅん…」
男に抱かれるのは初めてでないくせに、見られるのが恥ずかしいのだろうか、信は敷布に真っ赤な顔を押し付けている。
顔を寄せた李牧が、二枚の花びらの間にある艶めかしい淫華に舌を差し込むと、信が短い悲鳴を上げた。
「な、なにしてっ…」
驚愕と羞恥が入り混じった表情と、まるで経験のないような言葉を向けられて、李牧は思わず口を離した。
「あなたが私にしたのと同じことですよ」
言葉に出して言うと、信は真っ赤になっている顔をさらに赤くさせて、唇を戦慄かせながら首を横に振った。
逃げようとする細腰を両手で捕まえて引き寄せると、李牧は再び淫華に口づける。
「っんうう!」
下唇を強く噛み締めて、信が身体を仰け反らせる。
先ほどの言葉と、この恥じらいの反応を見る限り、もしかしたら男からこの愛撫をされたことがないのかもしれない。
何の躊躇いもなく着物を脱いだ彼女がようやく見せた動揺に、李牧は優越感を抱く。
破瓜を捧げた男は別にいるのだろうが、それとは別の信の初めてをもらえたような気になった。
「ぃやッ…」
花びらの合わせ目に、尖らせた舌を這わせようとすると、信が頭を突き放そうと両手を伸ばして来る。
その両手首を押さえ込むと、李牧は思わず目を見張った。
天下の大将軍の娘と称えられている彼女だが、その手首は驚くほどに細かった。こんなにも華奢な腕で大勢の兵を薙ぎ払い、強将たちを討ち取って来たのかと思う。
「いやだっ、て…!」
李牧は彼女の言葉を無視して、再び淫華に顔を寄せる。
女の官能を司る花芯が顔を覗かせており、まるで男を煽るかのようにぷっくりと膨らんでその存在を主張していた。
「ひいッ…」
美味そうだと花芯を唇で食むと、信の身体が硬直する。
構わずに尖らせた舌先で突いてやったり、強く啜ると、信の引き締まった内腿がびくびくと打ち震えていた。
逃れようと身を捩っているが、まるでもっとして欲しいと願っているような仕草で、舌の動きを速めてしまう。
「~~~ァ…!」
喉を突き出して信が声ならぬ声を上げているのを見ると、もっと善がり狂わせてやりたいと思った。
「ひ、ぁぐっ」
花芯を口と舌で可愛がってやりつつ、今も蜜を垂れ流している淫華に再び指を突き挿れた。
すんなりと呑み込まれた二本の指を柔らかく滑った肉壁がきゅうと締め付けて来る。
互いの指を絡ませていた両手が自由になり、信は李牧を突き放そうと髪を掴んだ。しかし、上手く手に力が入らないようで、弱々しく髪を掴むのが精一杯らしい。
「ひ、やッ、あァ」
花芯の裏側に当たる部分を淫華の中から指で突き上げると、悲鳴に近い声が上がる。
敏感な花芯を表と裏から責められて、信の身体の震えが止まらなくなる。
「ま、待って、も、もうッ…」
瞳に涙を浮かべながらやめてくれと懇願される。しかし、李牧は構わずに花芯への刺激を続けた。
「あっ、あぁーッ」
やがて、信の身体が一際大きく震え、泣きそうな声が上がる。
硬直した身体がくたりと脱力したのを見て、絶頂を迎えたのだと悟った。
情事 その三
「は、ぅ…」
微かに下腹部を痙攣させている信が涙を流している。
それまで彼女の足の間に顔を埋めていた李牧はようやく身を起こし、手首にまで伝っている蜜を、まるで彼女に見せつけるように舌を這わせた。
羞恥と怒りが混ざり合い、複雑な表情でこちらを睨み付ける信に、李牧はすっかり余裕じみた笑みを浮かべていた。
「これでお相子でしょう?」
お互いに同じ方法で絶頂を迎えたのだから、何も悪いことはないだろうと問えば、信があからさまに目を逸らした。
先ほど絶頂を迎えたはずなのに、男根が再び勃起している。彼女の愛らしい反応を見て、男としての本能が完全に覚醒していた。
彼女の蜜で濡れた手で何度か男根を扱き、信の両足を大きく広げさせる。
「っ…」
緊張と不安が混ざったような眼差しを向けられる。
「ん、く…」
焦らすように男根の先端で花びらの合わせ目をなぞる。何度か繰り返していると、信が切なげに唇を噛み締めたのが分かった。
戸惑いの表情の中に、早く挿れてほしいという期待が込められていることに気付いていたが、気づかないふりをして執拗に入り口を弄る。
すぐに腰を前に押し出したかったが、李牧は欲望を押さえつけながら、我慢比べを続ける。
「んん、…あぅ、…」
信は気持ち良さに恍惚の表情を浮かべていた。
互いの性器を擦り合っているだけでこんなにもはしたない顔を晒すのだから、男根を中に挿れれば、一体どんな淫らな表情を見せてくれるのだろう。
「ぁ……はや、く…」
信が腕を伸ばして李牧の男根をそっと掴んだ。我慢比べは呆気なく李牧の勝利で終わったようだ。李牧の方にも、もう余裕は残っていない。
ひくひくと震えている淫華の中心に先端をぐっと押し付け、迷うことなく腰を前に押し出した。
「ぁああッ」
喜悦に染まった悲鳴が上がる。
喉を突き出して、信が身体を仰け反らせたので、離れないように李牧はその体を強く抱き締め、男根で最奥を貫いた。
淫華の艶めかしい感触に、目まぐるしい快楽が押し寄せる。互いの下腹部が隙間なく密着し、信と一つになったのだと実感した。
「う、…っあ、ぁあ…」
強く身体を抱き締め合い、性器が馴染むまで、二人は動かなかった。
強く閉ざした瞼から止めどなく涙が流れているのが見えて、李牧は目尻に唇を寄せた。
それが引き金になったかのように、二人は唇を重ね合った。信の方から舌を伸ばして、自ら李牧の舌を絡め取って来る。
李牧も彼女の舌に吸い付き、唇と舌の感触を味わった。
「ふっ…、んんっ…」
鼻奥で悶えるような声を聞き、李牧は唇を離す。敷布の上で再び指を交差させ合うと、ゆっくりと腰を引いた。
「んんっ…」
ゆっくりと腰を前後に動かし始めると、信が強く目を瞑りながら、李牧の背中に回した腕に力を込めたのが分かった。
まるで恋人同士のようだ。
体を重ねているだけだというのに、今だけはお互いの敵対関係にある立場を忘れられた。
「あぅッ、あっ、ああっ、やぁ」
耳に舌を差し込むと、抱き締めている信の身体にぶわりと鳥肌が浮き立ったのがわかった。
舌を抜き差ししながら腰を前後に連打すると、信の口からひっきりなしに喘ぎ声が洩れる。
彼女の甘い声に、自分の男根で善がり狂う姿に、李牧は夢中になっていた。
淫華からは止めどなく蜜が流れ続け、腰を穿つ度に性器の擦れ合う音がより卑猥になっていく。
敷布の上で絡め合っている指に、ますます力が込められる。
「あっ、ま、待っ、てぇッ」
絶頂に駆け上がろうと腰の動きを速めると、信が髪を振り乱して制止を求めた。
あまりの激しさに寝台の軋む音が大きくなっていた。扉の向こうにいる聞き役も、夢中になって情事の音を聞いていることだろう。
制止されても李牧は構わず腰を揺すり続ける。
欲望に頭が支配され、余裕のない惨めな顔を晒していることに自覚はあった。
情事 その四
女と性器を交えることは初めてではなかったのだが、こんなにも行為が心地良く感じられたのは初めてのことだった。
身体の相性が良いのかもしれない。そして、信も同じように思っているだろう。
まるで期待するような眼差しを向けられ、思わず口角をつり上げた。
「っぅんんん!」
細腰を両手でぐいと引き寄せると、これ以上ないほど深いところを貫かれて、信が奥歯を強く噛み締める。
唇の隙間から洩れた声が喜悦に染まったままで、李牧は優越感を抱いた。
言葉には出さずとも、彼女の紅潮した顔が、喘ぎ声が、身体が気持ち良いと訴えていた。
「はあぁっ、ぁあ、ああぅっ」
もはや目を開ける余裕もなくなっているのか、信は瞼を下ろしていた。止めどなく頬を伝う涙に吸い付きながら、李牧も息を切らしている。
お互いに絶頂へ駆け上ることしか考えられなくなっていた。
「んぁ、李、牧…」
喘ぎ声の合間に名前を呼ばれ、李牧は導かれるように彼女と唇を重ねる。信の身体を再び強く抱き締め、腰を強く打ち付けた。
「あっ、も、もう…」
限界が近いのだろう、切なげに眉を寄せて、信が李牧を見上げる。
彼女の身体を抱き締めたまま、李牧は耳元に唇を寄せて低い声で囁いた。
「…私の子を孕んだら、趙に来てくれますか」
信が目を見開いて、息を飲んだのが分かった。
同じように息を切らしている李牧の考えていることが分かったのか、腕の中から逃れようと身を捩らせる。
「あっ、…や、いやだッ、待って、中は…!」
嫌がっていても、体は今さら後戻りが出来ないらしく、すぐ絶頂が目の前まで迫っていた。
どうにか逃げようとする身体を抱き押えながら、激しく突き上げ続けると、やがて、甲高い悲鳴が部屋に響き渡る。
信の身体が大きく痙攣し、子種を求めた淫華が男根をさらに強く締め付けた。
「ッ…!」
息を止めて、限界まで腰を穿つと、李牧は男根を引き抜いて彼女の腹部で射精した。
精液が勢いづいて尿道を駆け巡る瞬間は、全身が雷に打たれたかのように激しく痺れる。
「はあ…はあ…」
肩で息をしながら、李牧は徐々に理性を取り戻していた。
信も同じように息を整えながら、下腹部に掛けられた精液を見下ろして瞠目していた。
「…なんで…」
ひっきりなしに叫び続けた彼女の声は掠れていた。中で射精をされると思ったのに、そうしなかった李牧の行動に驚いているらしい。
答えの代わりに、李牧は扉の方にちらりと視線を向ける。聞き役がいることを思い出したように、信がはっとした表情になった。
扉は開けられていなかったが、もし隙間から覗かれていたとしても、寝台の上で身を重ね合っている二人の会話を聞き、その姿を見れば、彼女の中で射精したようにしか見えないだろう。
「これで子を孕んだら、私の妻になるのですよ」
聞き役を欺くための言葉だと分かった信は、何と言い返すべきか分からずにいるようで、あからさまに目を泳がせていた。
李牧はもう一度彼女の身体を抱き締める。
「…私は本気ですけどね」
耳元でそう囁くと信がぎょっとした表情を浮かべたので、李牧はつい口元を押さえて笑い声を上げそうになる自分を必死に制した。
聞き役が呂不韋に報告をすれば、彼女の仲間たちはきっと無事に解放されるだろう。
交渉の話術に長ける男だが、自分に利をもたらす結果が確定したのなら、約束を破ることはしないはずだ。
笑いを堪えている李牧に苛立ったのか、信の目がきっとつり上がる。
「どけよっ…」
李牧の身体を押し退けた信が寝台から立ち上がった。
「ぅ、おっ」
先ほどの激しい情事で足腰に力が入らなかったらしく、信の身体がぐらりと傾く。
咄嗟に李牧は彼女の腕を掴んで、背後から抱き寄せた。
膝の上に乗る形になり、信が恥ずかしそうに目を泳がせている。男女で行きつく先まで共に上り詰めたというのに、今さら何を恥じることがあるのか。
戯れに胸の芽を指先で弾いてやると、信が振り返って李牧を睨み付けた。
「ばかッ、やめろ、放せっ」
情事の後の余韻に浸ることもしない信に、李牧はますます愛らしさを感じていた。
彼女を見つめているだけで胸が高鳴ったことも、傷痕の残る右の手の平が甘く疼くように痺れたのは、決して気のせいではなかった。
女将軍の訃報
それから一年後、秦の女将軍が討たれたという話は、瞬く間に中華全土に広まった。
その報せは当然、趙の宰相である李牧の耳にもすぐに届くことになる。
「信が…討たれた…?」
飛信軍の信が討たれたのだという事実は、俄かには信じがたいものであった。
李牧は彼女の養父である王騎の仇である。馬陽の戦いだけでなく、秦趙同盟を結んだ際に、面と向かってお前を討つと言っていた彼女が、まさか自分以外の誰かに討たれるなど思いもしなかった。
当然ながら、彼女の最期を知る者は、この趙国にはいなかった。しかし、飛信軍の女将軍を失ったことは、秦にとって深手であることだけは分かる。
いつも前線を切り開く強大な力を誇っていた彼女が亡き者になったという事実を、李牧は受け入れるまで時間が掛かっていた。
信を失ったとはいえ、すぐに体勢を立て直すだろう。いつまでも空いた穴をそのままにしておけば、容易に攻め込まれてしまう。
しかし、いかに穴を塞いだとしてもその綻びは決して埋まるものではない。
彼女という楔を失った秦を落とすのはもはや容易いことだ。李牧の頭には、既に秦の滅ぶ未来が描かれていた。
(信…)
殺意を包み隠すことも出来ない瞳が、素直で愚かな彼女に、李牧は恋い焦がれて止まなかった。
彼女の澄んだ美しい黒曜の瞳が好きだった。二つの眼球を抉り出して、手元に置いていつまでも眺めていたいと思うほどに。
あの宴の夜に肌を重ね合ってから、李牧は彼女のことをより一層手に入れたいと思うようになっていた。
やはり、妻として傍に置いておくべきだったのだと後悔した。
卑怯者だと罵られようが、それが彼女を守る方法だったのだとなぜ気づけなかったのだろう。
首は取られたのだろうか。それとも、秦で手厚く葬られたのだろうか。せめて一目だけでも、亡骸を目にしたかったが、それも叶わない。
(…あなたがいない秦に、もはやこの同盟にも、価値はありませんね)
七つの国が描かれている地図を眺めながら、李牧はやるせなさのあまり、溜息を吐き出した。
瞼の裏に、彼女と初めて出会った時の光景が浮かび上がり、傷痕の残る右の手の平が疼くように、痛みを覚えた。