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卑怯者たちの末路(桓騎×信)番外編

卑怯者4
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  • ※信の設定が特殊です。
  • 女体化・王騎と摎の娘・めちゃ強・将軍ポジション(飛信軍)になってます。
  • 一人称や口調は変わらずですが、年齢とかその辺は都合の良いように合わせてます。
  • 桓騎×信/シリアス/回想/All rights reserved.

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

このお話の本編(李牧×信)はこちら

 

信の正体

本編の過去です。

 

その日、桓騎の屋敷に珍しい来客があった。最近になって五千人将から昇格した女将軍だ。名を信という。

下僕出身でありながら名家の養子となった彼女の話は、秦国で有名である。

せっかく養子として引き取られたのならば、その出世を活かして貴族の家にでも嫁げばいいと思ったのだが、彼女は将の才を魅入られて養子に迎えられたらしい。

信が将軍昇格する前、桓騎は彼女が率いている飛信隊と共に戦に出陣したことがあった。

桓騎軍と飛信隊の兵たちは折り合いが悪く、顔を合わせればすぐに口論になっていたことを思い出す。

しかし、信だけは他の兵たちと態度が違った。
桓騎の軍略に耳を傾け、どのように奇策が成されるのか、楽しそうに話を聞いていたのだ。

指示した通りに兵を動かした先に、どのように敵を攻め立てるのか、桓騎が成そうとしている奇策を根本から理解しようとしていたのだ。

信頼のおける参謀たちにしか奇策の全貌を告げない桓騎だが、これまで二度、信に奇策の全貌を見抜かれた。

自分と同じで下賤の出であり、軍師学校で学ぶような机上の軍略など一切を知らぬ信だからこそだろう。

だからと言って彼女を信頼するのとはまた話が違うため、その後も桓騎が奇策を教えてやることはなかった。

しかし、彼女が他の将とは違う何か・・を持っていて、そしてその何かとは自分に近しいものなのだと気づいてから、桓騎は信のことを気に掛けるようになっていた。

自ら声を掛けたり、贈り物をするといった機嫌の取り方ではない。ただ、彼女のことを目で追う回数が増えたのは、自覚せざるを得ないほど明らかだった。

信は良い意味でも悪い意味でも礼儀を知らない。
どういった繋がりがあるのかは知らないが、秦王である嬴政にも頭を下げることなく気さくに接している。秦王の側近に咎められても、彼女は態度を変えようとしなかった。

そしてそれは桓騎に対しても同様である。桓騎軍の素行の悪さは秦国どころか中華全土に広まっているが、信は少しも怯えることはなかった。

大勢の民を虐殺し、敵軍に見せしめとして贈り物・・・にしてやった時も、信は相手の動揺させる手段として学んでいたのだ。

飛信隊と言えば捕虜を殺さないことで有名であり、まさか信が無関係の民たちを殺める手段に学びを得るとは桓騎も予想外だった。

一度、戦の勝利を祝う宴で、彼女と酒を酌み交わしたことがある。

その時に、桓騎は彼女に問い掛けたのだ。敵の捕虜や民たちを虐殺するような手段を学んだところで、お前に実践できるのかと。

質問の答えが知りたいと思うのと同時に、善人ぶっているこの女が、自分たちのように虐殺することなど出来るはずがないだろうという挑発でもあった。

すると信は、桓騎の耳元に唇を寄せて、

―――…飛信隊は、そんなこと絶対にやらねえと思われてるだろ?だから・・・だよ。

静かにそう囁いたのだ。

妖艶な笑みを向けられ、桓騎は着物の下でぶわりと鳥肌を立てた。恐怖によるものではない。大いに好奇心が揺さぶられたのだ。

この女は表向きは善人として兵たちを導いているが、中にとんでもない化け物を隠し持っている。

この時に見せた妖艶な笑みこそが、彼女の本当の姿なのだと分かり、桓騎はますます信のことを気に入ったのだった。

 

 

突然の訪問

信は護衛を連れておらず、馬を走らせていた。

後ろに率いているのは荷台である。荷は布で覆われているため、何が詰まれているのか分からない。
騎手の男は積まれている荷が破損しないように気遣いながら二頭の馬を走らせていた。

屋敷から姿を表した桓騎の姿を見ると、信は笑みを浮かべて馬上で手を振った。まるで友人に会いに来たような態度だ。

桓騎は腕を組みながら、彼女がすぐ目の前にやって来るまで、ここに来た目的が何かを考えていた。

「久しぶりだな」

信は馬上から桓騎を見下ろした。
今日は珍しく、動きやすさを優先する男の下袴は履いておらず、貴族の娘のように質の良い紫の着物に身を包んでいた。

これから宴の席にでも向かうのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。

「何の用だ」

信が屋敷を訪れた理由は分からず、桓騎は面と向かって彼女に問い掛けた。

どうやらその問いが来るのを分かっていたかのように、信はにやりと笑う。彼女は馬から降りると、荷台を覆っている布を勢いよく引き剥がした。

荷台には、大量の酒樽が頑丈に縄で括られていた。

「貢ぎ物だ」

迷うことなくそう発した信に、桓騎の眉根が寄る。

「俺に奇策を教えてくれ」

とても人に物を頼む態度とは思えない。桓騎が何も答えずにいると、信が瞬きを繰り返している。

貢ぎ物も持って来たというのに、少しも顔色を変えないどころか、呆れた表情を浮かべた桓騎に、信は戸惑っていた。

「奇策ならもうやっただろ」

過去に二度見抜かれた奇策はもう使わないつもりだった。だからこそ、信が使っても構わなかったのだ。

奇策といえど、他の軍略と同じで何度も同じ手法を使えば、同じ手を食らわないように相手も対策を練るだろう。それでは奇策を成すことは叶わない。

だが、信が奇策を用いるとなれば、少なくとも桓騎軍を相手にする時と違って相手は大きく動揺するに違いない。

普段はその強さゆえに前線を任されることの多い飛信軍が、桓騎と同じ奇策を用いることなど、相手は予想すら出来ないに決まっている。

ましてや、捕虜や女子供を殺さないことで有名な飛信軍が、これまでになかった残虐な行為を行えば、敵の混乱は必須だ。

それを分かっているからなのか、信は新たな奇策を授けて欲しいのだと懇願した。とても物を頼む態度ではなかったが、彼女自ら桓騎のもとへ訪れたのが何よりの証拠だろう。

飛信軍にいる軍師の指示に従えばいいものを、どうしてそこまで奇策にこだわるのか、桓騎には信の考えが分からなかった。

 

 

取引

「そんな貢ぎ物で、この俺が教えると思ってんのか」

奇策を授けることに抵抗がある訳ではない。
この女なら確実に自分の奇策を使いこなすだろうと思っていたし、奇策を欲する目的が分からないとしても、安易に授けようと思う代物でもなかった。

大量の酒樽を見ても少しも態度を変えない桓騎に、信がつまらなさそうに溜息を吐いた。

「じゃあいい。王翦将軍に当たる」

まさか粘りもせずに他を当たるとは。桓騎は表情には出さず、信の諦めの早さに呆然とした。

「おい」

荷台の騎手に声を掛けようとする信の腕を、桓騎は思わず掴んでいた。もう用はないと言わんばかりに、煩わしそうな視線を向けられる。

(生意気な女だ)

下賤の出であることや、何事においても自分の利になることしか求めていないことには親近感を覚えるが、自分が利用される立場になると、こうも腹立たしいものなのか。

「教えてやっても良いぜ」

怪訝そうに眉根を寄せる信に、桓騎は肩を竦めるようにして笑う。

「他の貢ぎ物次第だな」

信の顎に指をかけて顔を持ち上げ、無理やり視線を合わせる。
すると、信が背伸びをして、桓騎の首元に両腕を伸ばし、抱き着くような素振りを見せた。それから挑発的な視線を向けて来る。

一晩の極上の夢・・・・・・・なんて、どうだ?」

紅で瑞々しく彩られた唇が妖艶な笑みを象ったのを見て、桓騎の背筋に戦慄が走った。

「乗った」

その返事を聞き、満足そうに信が目を細めて頷いた。

「そうこなくちゃな。せっかく・・・・こんな格好してやったんだから、脱がせなきゃ損だろ?」

その言葉に、桓騎は瞠目した。

まさかこの女は、抱かれるのを条件に奇策を教えてやると言われるのを分かっていて、そのような格好をして来たというのか。

宴でもないのに、やけに女らしさに磨きをかけていると思ったが、自分の奇策を手に入れるためならば操さえ捧げることに、奇策に対する執着のようなものを感じられた。

そして恐らく桓騎が酒の貢ぎ物だけで靡くことはないと分かった上で、一度は諦める素振りを見せて、呼び止めさせたのだろう。

着物の色も桓騎の好みに合わせて選んだのかもしれない。

とことん賢い女だ。こんな女が奇策を我が物にしたのなら、信の思い描いた通りに戦況が動くことだろう。

奇策を手に入れるために自ら操を差し出すというのだから、その取引に乗ってやろうと桓騎は笑った。

たとえ、これが信の描いた奇策だとしても、その先に何があるのか、桓騎は自分の目で確かめたくなったのだ。

 

 

取引 その二

部屋に入るなり、桓騎は信の背中を扉に押し付け、貪るように唇を重ねた。

「んッ…!」

まさかいきなり口付けられるとは思わなかったのだろう、信の瞳に困惑の色が浮かんでいる。

薄く開いた唇に舌を差し込むと、それまで余裕たっぷりの表情が崩れたことに、桓騎は得意気に笑った。

舌を絡めると、信の体が強張った。

ここまで自分を挑発していた彼女のことだから、自ら舌を絡めて来るとばかり思っていたのだが、どこかぎこちない姿と、されるがままの口づけに違和感を覚えた。

「はあっ…」

唇を離すと、信が顔を真っ赤にして肩で息をする。

うっすらとその双眸に涙を浮かべていた。上目遣いで見上げられ、思わず生唾を飲み込んでしまう。

「あっ、ま、待て…」

再び口づけようと顔を寄せると、信が両手で桓騎の胸を押し退けた。

程良く嫌がる素振りを見せられれば、攻め立てて泣かせたくなるものだ。娼婦でさえもこんなにそそるやり方はしない。

男の欲を煽る要素しかない信の抵抗する姿に、まさかこれも計算だとしたら、とんでもない女だと苦笑を浮かべた。

「…まだ、誰にも抱かれたことがない」

「あ?」

目を逸らしながら信が呟くように言ったので、桓騎は驚いて聞き返してしまった。

まさか男を誘う術を熟知しているように見せかけて、生娘処女だったとは思わなかった。

信の年頃ならば男の味を楽しんでいるはずだろうに、一度も経験がなかったのには何か理由があるのだろうか。

まるでこちらの考えを読んだかのように、信が再び上目遣いで見上げて来た。

「お前から奇策を得るのに十分な対価・・・・・だろ」

つい先ほど、恥じらうように処女だと打ち明けた女と同一人物だとは思えないほど、妖艶な笑みだった。

破瓜というものは、女にとっては特別なものだ。
添い遂げる男へ捧げるため破瓜を守り抜く女だっているというのに、信にとっては違う利用価値があるらしい。

自らの純血を捨ててまで、自分の奇策を得ようとしているこの女に、桓騎はますます興味を引かれた。

「…もしも俺が奇策を教えなかったら、王翦に抱かれてやったのか?」

顎に指を掛け、恥じらうように目を逸らした信に、桓騎は問い掛けた。

信は少しも考える素振りも見せず、

「それ、嫉妬か?」

質問には答えず、懲りずにこちらを挑発するような笑みを向けて来た。

奇策を授けてやる代わりに、彼女の純血という十分過ぎる対価は受け取ってやるつもりだが、これはきつい灸を据えてやらねばと考えた。

自分のような男を取り入れようとした信が悪いのだ。

「んっ、う」

再び強引に唇を塞ぎ、桓騎は再び舌を差し込む。

舌を絡めながら、この女に男を喜ばせる技を覚えさせたら面白いことになりそうだと桓騎は考えていた。

 

 

手ほどき

歯列をなぞったり、舌に吸い付いたり、口づけを深めていくと、信の呼吸がどんどん激しくなって来た。

「は、ぁ…」

唇を離すと、まるで酒が回ったかのように、とろんとした恍惚の視線を向けられる。

扉を背に押し付けていたが、脚がおぼつかないでいる。

まさか口づけだけでそんな風に反応を示すとは思わず、桓騎の口角がにやりとつり上がった。

「来い」

奥の寝台へと彼女の腕を引いて連れていく。
寝台の上に押し倒されても、信は緊張する素振りを見せなかった。

生娘ならば、破瓜の痛みを想像したり、緊張で体を強張らせるものだが、信は違う。

まるでこの時を待っていたと言わんばかりの恍惚な笑みを浮かべながら桓騎を見上げていた。

(こいつに娼婦の才まで出ちまったら、国が滅びるな)

それは決して冗談ではなかった。
もしも信が男の味を占めて、奇策を扱うように男の扱いを覚えてしまったら、国を動かしかねない。

もしかしたら、彼女が嬴政と親友関係にあるのも、秦王を利用しようとしているのではないかとさえ思った。

二人は、嬴政が弟である成蟜から政権を取り戻す時からの付き合いだとは噂で聞いていたが、まさか嬴政が秦王の座に就いて国を動かしていくことになるのだと想定した上での行動だったのかもしれない。

どこまでが彼女の描いた策通りに中華が動いていくのか、桓騎は新たな楽しみを見つけたように目を細めた。

華やかな装飾が施された帯を解き、着物を脱がせていく。

普段なら着物を脱がせれば、二つの膨らみにすぐ目がいくのだが、信は違った。

娼婦よりも男の欲を煽る彼女であったが、その肌は傷だらけで、見る者によっては性欲を萎えさせるような惨い傷が刻まれていた。

しかし、若さゆえの艶は十分過ぎるほど備わっている。加えて、鍛錬で培った引き締まった身体は無駄な肉などついておらず、しかし、女らしさを一番に語る胸は程良く膨らんでいる。

傷さえなければ、どんな男でもこの体に骨抜きになっていただろう。

しかし、同じ将として幾度も死地を生き抜いて来た桓騎は、その傷に愛おしさとも同情とも言える感情を抱いていた。

恐らく、他の将がこの傷を見ても同じ感情を抱くだろう。
この傷跡さえも、信にとっては男を惑わせる武器になるのかもしれない。

「んっ…」

胸の中央に真っ直ぐ刻まれている傷痕に舌を這わせると、滑った舌の感触がくすぐったいのか、信の身体がぴくりと震えた。

決して嫌悪は含まれていないその反応に、気を良くしながら桓騎は傷痕を舌でなぞり続けた。

 

「ぅ…」

信の手が桓騎の肩を掴む。制止を求めているのではなく、縋りつく先が分からずに掴んだのだろう。弱々しく震えている手がようやく生娘らしく見えて、桓騎は苦笑を浮かべた。

手の平で胸の膨らみを包み込むと、柔らかさだけでなく、しっとりとした肌の感触が伝わって来る。

いつもはさらしで覆っているようだが、こんな良いものを隠していたのか。
手の平で優しく揉みしだいていると、信が戸惑ったように眉根を寄せていた。

「あっ」

胸の芽を指先で弾いてやると、小さな声が洩れる。鼻奥で悶えるような吐息が聞こえた。緊張で身体を強張らせているものの、どうやら感度は良いようだ。

肩を掴む手に力が入ったのを見て、桓騎は胸の芽を指で摘まんだり、擦ったり、微弱な刺激を与え続けた。

やがて反応を示したかのように、胸の芽が立ち上がる。これで可愛がりやすくなった。

それまで桓騎の肩を掴んでいた手を口元へ持っていき、信が声を堪えようとしている。純血を捧げると言った割には羞恥心が切れないのだろう。

それとも浅ましい声を上げる自分を恥じてのことなのか、桓騎にはどちらでも良かった。

身を屈めて、桓騎が立ち上がったばかりの胸の芽に唇を寄せると、信の身体が小さく震えた。

上下の唇で胸の芽を食み、舌でくすぶる。

生暖かい舌の感触が沁みたのか、手の甲で押さえている口から呻き声が上がった。

戸惑いも混じっている声に気分を良くして、桓騎は口唇と舌を使って、胸の芽を愛撫する。反対の方は指で可愛がっていると、信の息がどんどん荒くなって来たのが分かった。

「っあ、うぅ」

軽く歯を立ててやると、悩ましい声が上がる。
もしも信が生娘だと話していなければ、きっと男と経験があるのだと誤解していたに違いない。

上目遣いで信の反応を楽しみながら、桓騎は胸を弄っていた手を彼女の内腿に滑らせた。

ひ、と信が息を飲んだのが分かった。生娘とはいえ、男と交わるために其処を使うことは知っているだろう。

まだ蜜を零す気配のない乾いた淫華に指を這わせると、信が火傷をしたかのように身体を跳ねさせた。

身を固くしている信の耳に舌を伸ばすと、鳥肌が立ったのが分かった。反応が演技ではないことが分かると、思わず口角がつり上がる。

「ぁっ、うあっ、やだッ、やめろ」

粘膜を直接犯される初めての感触に、顔を真っ赤にした信が桓騎を押し退けようと腕を突っぱねた。

構わずに耳の中を舌で犯しながら、二枚の花弁の合わせ目をなぞる。まだそこは固く閉ざされていたが、刺激を続けていくと、じわりと蜜が滲み出て来たのが分かった。

 

 

手ほどき その二

「はあっ…」

耳から舌を離すと、信は身体から力が抜けたように凭れ掛かって来た。

まだ前戯の最中でそのように脱力していては、男根を受け入れた時にどうなってしまうのか。

はあはあと息を荒げている信の体を抱き寄せながら、桓騎は淫華を指で弄り続ける。

「んんッ…」

胸を弄っていた時と同じく、切なげに眉根を寄せている。

「自分で弄ることくらいあるだろ」

指を動かしながら問いかけると、彼女は大きく首を横に振った。自分で性欲の処理をすることはないらしい。

自分の指で淫華を弄り、達している姿も見てみたいものだが、それはいずれの楽しみにしておこう。

彼女が今後も奇策を欲するのは目に見えている。
その瞳の先に何を見ているのかは分からないが、一つだけでは足りないはずだ。

今後も操と引き換えに奇策を教えてほしいと頼まれれば、桓騎はその条件を飲んでやるつもりでいた。

奇策だけではなく、男を喜ばせる術をこの体に仕込めば、間違いなく未来は面白い方向に進むと、桓騎は睨んでいた。

この女が内に隠している本性が知りたい。まだ身を繋げてもいないというのに、桓騎は信という女に夢中になっていた。

「あッ…!」

二枚の花弁を開くと、蜜のぬめりを利用して淫華に指を一本突き挿れる。
まだ体の緊張が抜けていないせいか、指一本入るのがやっとだった。しかし、蜜で潤み始めたそこは温かくて気持ちが良い。

自分でも滅多に触れない場所だからだろう、信の身体がより強張ったのが分かる。自分の男根を咥えさせるまでには時間がかかりそうだ。

その体を押さえつけて強引に男根を捻じ込むことも考えたが、この行為で恐怖を植え付けることが目的ではない。

むしろこの行為を気持ち良いものだと覚えさせた方が、後々、信にとっても動きやすくなるだろう。

「力抜け」

恨めしそうに信が見上げて来たので、桓騎は溜息を吐いた後、唇を重ねた。

「んッ、んむッ…ぅ…!」

まさかいきなり口付けられるとは思わなかったようで、信が目を見開いている。

舌を差し込んで唾液を流し込みながら、絡ませる。

淫華に入り込んでいる指を中で動かしながら、口づけを深めていくと、信が苦しそうに喘いでいる。

口づけと淫華への刺激に意識が分散しているようで、訳が分からなくなっているらしい。

狭い下の口を広げるように指を大きく動かしていくと、信が鼻奥で悶えるような吐息を洩らした。

 

 

指を動かす度に、蜜がどんどん溢れて来るのが分かる。

ぬるぬると指が滑るが、柔らかい肉壁は指を離さないように、きゅうと締め付けて来た。これは極上の夢を見させてくれそうだ。

「んううっ」

滑りを利用して指を二本に増やすと、口づけの合間にくぐもった声が上がった。肩口に顔を埋めながら、必死に声を押し殺そうとしているらしい。

「ふ、うッ…」

鉤状に指を折り曲げると、信の身体が大きく跳ねる。蜜の潤いがあっても、中はまだ狭い。

破瓜の痛みを少しでも和らげるために、桓騎は鉤状に折り曲げた指で、中を解し始めた。

中で二本の指を動かす度に、小さな水音が上がる。室内に響くその音にさえ羞恥心があるのか、信は桓騎の肩口に埋めた顔を上げられずにいるようだった。

「は、う…っ、んん…」

吐息の合間に洩れる甘い声が鼓膜を揺する度に、桓騎の下半身が重くなる。触れてもいない男根が硬く上向いているのが分かった。

今日は信の記念すべき初夜になる。
男を喜ばせる方法はまた次の機会に教えてやろうと考えながら、桓騎も軽く息を乱しながら指を動かし続けていた。

 

 

極上の夢

しつこいほど中を指で動かし続けた甲斐あって、信の其処は慣れを見せ始めていた。まだ男根を咥えるには少し狭いが、もうこれだけ解せたのなら良いだろう。

「っあ、はあ…」

指を引き抜くと、信の内腿が僅かに震えた。

「跨れ」

胡坐をかいた状態で信の腕を掴みながら指示すると、言われるままに、立ち膝の状態で桓騎の上に跨った。しかし、これからどうしたらいいのか分からないと言った視線を向けられる。

桓騎は自分の男根を掴むと、信の足の間にある淫華の中心に先端を押し当てた。

「あ、ッ…?」

先ほど存分に指で解した場所は、蜜でぬるぬるとしている。

「自分で腰下げろ」

まさかそんなことを言われるとは思わず、信が瞠目する。

「痛けりゃ自分で止めればいい。この姿勢なら出来るだろ」

「……、……」

正常位で貫く手もあったが、桓騎はあえてその手段を選ばなかった。
言葉だけ聞けば、情を掛けたように思えるが、決してそうではない。自らの意志で自分に純血を渡したのだと、思い知らせたかったのだ。

「ほら、俺の首に腕回せ」

「う…」

言われるままに、信は桓騎の首に腕を回す。その表情には緊張だけではなく、僅かに不安の色も浮かんでいた。

「ふ、…うぅ…」

淫華に太い亀頭が当たると、信は桓騎の身体にしがみ付いた。先ほどまで指で広げていた其処がみちみちと押し開かれていく。

「いッ、たぃ…」

まだ入り口を押し広げているだけだというのに、ここで音を上げるのは早過ぎる。

細腰を掴んで一気に貫いてやろうかと思ったのだが、信は額に脂汗を浮かべながら、腰を下ろすのをやめなかった。

「う、ぅうっ…」

しかし、一番太い亀頭部を飲み込んだ辺りで、信はいよいよ腰を下ろすのをやめてしまう。決して演技などではなく、本気で痛がっているようだ。

戦場で受けるような傷とは違い、身体の内側を抉られる痛みというのは未知の痛みだったのだろう。

破瓜の痛みは男が想像出来ない苦痛だというが、幾度も致命傷となり得る重傷を負った信ですらこの有り様ならば、酷い痛みに違いない。中途半端に下ろしている腰が震えていた。

まだ処女膜を破るほど咥え込んではいないようだが、このままでは埒が明かない。

自ら咥え込むまで待ってやるつもりではあったものの、桓騎にはあまり余裕が残っていなかった。

破瓜の痛みはどちらにしても避けられないのだから、早く済ませてやった方が苦痛が長引かなくて良いかもしれない。

「息、止めんなよ」

信の細腰を両手で掴むと、桓騎は容赦なく彼女の身体を下に引き摺り下ろすために力を込めた。

「えっ、あ、待てっ、や、ぁあーッ!」

耳元で甲高い悲鳴が上がり、背中に爪が立てられた。

痛みに悶える体を押さえ込むようにして、桓騎は男根を深く咥えさせる。
悲鳴を上げた信が桓騎に肩に額を押し付けて、苦しげに呼吸を繰り返す。痛みのせいか、内腿ががくがくと震えていた。

「しばらくは動かないでおいてやる」

「っ…、……、…」

すすり泣く声が聞こえて、桓騎は慰めるように彼女の頭を撫でてやった。

奇策と引き換えに自らの破瓜を差し出した度胸は認めるが、今の弱々しい信の姿に将の面影はない。

女としての幸せを掴んで生きる手段もあっただろうに、信が将にこだわる理由とは何なのだろうか。

 

 

「桓、騎…」

涙を流しながら信に見上げられ、桓騎の喉が音を立てて上下した。

まだ彼女の表情から苦痛の色は消えていなかったのだが、身を繋げたまま寝台に押し倒す。

「う、ぐっ…」

体勢が変わったことで、より深く桓騎の男根が奥へ入り込み、苦しそうな声が上がった。色を失った彼女の指先が、敷布を掴んでいるのが見えた。

視線を下ろすと、二人が繋がっている部分に血の涙が伝っていた。紛うことなき、信が桓騎に破瓜を捧げた証である。

途端に愛おしさが込み上げて来て、桓騎は自分でも無意識のうちに、彼女に口付けていた。

「んん…ん、ぅ…」

涙を流しながら、信は健気に自分の口づけを受け入れている。痛みのせいで抵抗する気力もないのだろう。

「っ…んん、う…」

口づけながら、桓騎は信の下腹部を撫でた。
自分の男根を受け入れている彼女の腹は僅かに膨らんでおり、まるで自分の子を孕んだかのようだった。

身体を繋げただけだというのに、まるでこの女が自分のものになったかのような錯覚を覚え、陶然としてしまう。

お互いの性器が馴染むまでは、先ほど言ったように動くつもりはなかった。

抱き締めた腕の中で、信がぐすぐすと鼻を啜っている。涙に濡れた頬に、優しく唇を押し当ててやった。

「…桓騎」

それまで俯いていた信が、ようやく顔を上げる。
破瓜の痛みに打ち震えていた彼女は、思わず鳥肌を立ててしまうほど、妖艶な笑みを浮かべていた。

涙で濡れた瞳が、男の欲を激しく煽る。

二人が繋がっている部分に手を伸ばし、信はそっと指を這わせた。

「…貢ぎ物の味はどうだ?」

妖艶な笑みを崩すことなく、信は破瓜の血で赤く染まった指で桓騎の唇をなぞり、彼の口の中にその指を突き入れた。

舌の上に破瓜の血を纏った指を押し付けられ、鉄の味と、普段から嗅ぎ慣れている血の匂いが広がる。

他の誰でもない自分の男根を咥え、女になった信を目の前に、桓騎は思わず身震いした。

「気に入った」

唇に塗りたくられた破瓜の血を舐め取ると、恍惚な笑みを浮かべ、桓騎は信の細腰を抱え直した。

奇策どころか、自分の全てを与えてやってもいい。

全てを捧げたいと思うほど、桓騎は目の前の女に夢中になっていることを嫌でも自覚するのだった。

 

 

極上の夢 その二

信の足の間に伝っていた破瓜の血は、淫華の蜜と白濁で流れてしまったようだ。

濃い疲労の色を顔に浮かべながらも、信は桓騎の話に耳を傾けている。

この女ならわざわざ自分に聞かなくても、自分で閃きそうなものだがと思いながら、桓騎は約束通りに奇策を授けたのだった。

「…秦王に咎められそうだな」

信の首筋を指でなぞりながら、からかうように桓騎が笑った。

彼女の白い首筋には、行為の最中に桓騎が吸い付いた赤い痣が幾つも残っていた。この女を欲した自分の欲の表れである。

「政が?なんでだよ」

「あれはお前のことを気に入ってるだろ。見りゃ分かる」

信が不思議そうに小首を傾げていたが、肩を竦めるようにして笑う。

「…まさか、俺が国母の座を狙ってると思ってんのか?」

「お前みたいな女が后になったら三日で国が滅ぶな」

冗談混じりにそう言うと、信があははと笑った。

「何のために奇策を知りたがる?」

桓騎が問い掛けると、それまで笑っていた信の顔から表情が消えた。
奇策を扱う理由は、秦軍を勝利に導くためとは思えなかった。奇策を用いなくても、飛信軍の強さは十分にあるはずだ。

しかし、敵の捕虜や民に非道な行いをする桓騎から奇策を授かるのは、秦王への忠義に反しているのではないだろうか。

過去に行って来た虐殺を嬴政から咎められ、桓騎が幾度も処罰を免れていたのは、奇策を用いて勝利に導くことが一番の理由である。

そんな男から奇策を授かるために純血を捧げたとなれば、嬴政も黙ってはいないだろう。

信が嬴政にこのことを話すかは分からないが、言わないのではないかと桓騎は思った。

「…慌てふためく姿が見たい」

「あ?」

予想もしていなかった言葉を返され、桓騎はつい聞き返していた。

寝台に横たわりながら、信が隣に横たわっている桓騎に身を寄せた。

「…澄まし顔して余裕こいてるやつが、慌てふためいて、悔しそうな顔をして俺から逃げ出す姿が見たい」

静かにそう答えた信に、今度は桓騎が笑う番だった。

彼女が奇策を求める理由はあまりにも単純かつ、明白なものだった。要するに、自分が気に入らない相手に、とことん嫌がらせをしてやりたいのだ。

秦軍を勝利に導くためだとか、嬴政への忠誠のためだとか、そんなつまらない理由でないことは分かっていたが、あまりにも答えが意外過ぎて、笑いが止まらなくなる。

「いいな、お前」

本当に気に入ったと言うと、信の口元に刻まれた笑みがますます深まった。

しかし桓騎は、屋敷に訪れた時と同様にそのように答えれば・・・・・・・・・自分に気に入られるだろうと信が予見していることに気づいていた。

とことん内に秘めた本性を見せようとしない信だからこそ、惹かれたのだろう。

自分と同じ卑怯者の匂いを、桓騎は信と初めて出会った時から感じていたのである。

 

桓騎×信のバッドエンド話はこちら