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初恋の行方(蒙恬×信)後編

初恋の行方3
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  • ※信の設定が特殊です。
  • 女体化・王騎と摎の娘になってます。
  • 一人称や口調は変わらずですが、年齢とかその辺は都合の良いように合わせてます。
  • 蒙恬×信/ギャグ寄り/年齢差/IF話/ハッピーエンド/All rights reserved.

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

中編はこちら

 

誘い

帯を解き、襟合わせを開いて素肌を晒させても、信は抵抗しなかった。

顔を背けて目を閉じている。目を合わせないようにしているのを見て、蒙恬のことを受け入れるより、諦めたような態度だった。

「…信」

声を掛けると、信の瞼が鈍く動いた。

「俺、信の体で自慰をするつもりはないよ」

「…え?」

意味が理解出来ないと、信が目を開いてようやく蒙恬を見た。

「信のことを抱きたいってずっと思ってたけど、体だけ手に入れるなんてしない」

自分の体を組み敷いている蒙恬のそれ・・を見て、信が思わず吹き出した。

「カッコつけてんじゃねえよ。いくらなんでもそりゃあ無理だろ」

足の間で痛いくらいにそそり立っている男根を見れば、確かに説得力は皆無である。しかし、蒙恬は理性と気合いだけで情欲を押さえ込むことに決めた。

「ごめん、何とかするから…」

信の体から退くと、蒙恬は寝台の傍に用意されていた水甕に手を伸ばす。

頭から水でも被ればきっと何とかなると思ったのだが、信が制止するようにその手を掴んだ。

「信?」

起き上がった信が蒙恬の体に凭れ掛かる。

「ッ…!」

寝台の上で身を寄せながら、彼女は着物の上から蒙恬の勃起を手で愛撫し始めた。

まさか信の方からがこんなことをするとは思わなかったので、蒙恬は驚いて目を見開く。

「ちょ、っと、信ッ…!?」

咄嗟に彼女の手首を掴んで制止を求める蒙恬だったが、勃起し切って敏感になっている男根には、着物越しであっても、彼女の柔らかくて温かい手の平の感触が堪らなかった。

(まずい…)

これ以上刺激されれば、気合いや理性だけで情欲を抑制するのが困難になってしまう。

彼の胸に顔を埋めていた信は、反応を確かめるように上目遣いで見つめて来た。

「ッ…!!」

初めて会った時と変わらない冴え冴えとした瞳と目が合い、蒙恬の中で何かが弾けた音がする。

気づけば蒙恬は彼女の体を寝台の上に押し倒し、先ほどと同じ体勢に持ち込んでいていた。

まさか信の方から誘うような真似をするなんて、蒙恬は信じられなかったのだが、完全に燃え盛った情欲はもう消えそうになかった。

今思えば、信の煽りとも言える行動は、躊躇っている蒙恬の背中を押すためだったのかもしれない。

押し付けるように唇を合わせる。柔らかい感触を味わいながら、舌を差し込んだ。

「ふ、ぅう、…ん…」

舌を絡ませている間に聞こえる小さな呻き声に、耳まで甘く痺れてしまう。

情事の最中の飾りではない甘い口づけに、陶然と酔いしれる。

「ん…」

既に乱れていた着物を脱がせ、いよいよ蒙恬は彼女の白い肌に唇を寄せた。

幾度も戦場を駆け抜けて来た証である傷があちこちに刻まれていたが、少しも醜いとは思わなかった。

「っ、ふ、ぁ…」

首筋から鎖骨にかけて舌を這わせると、くすぐったそうに信が肩を竦ませる。

初めて会った時に触らせてもらった胸は、あの時よりは大きく膨らんでいたが、同じように柔らかいままだった。

「ん…」

谷間に唇を落としながら、両手で胸を愛撫する。心地いい質量と柔らかさを手の平いっぱいに感じて、蒙恬はそれだけで息を荒くしていた。

指をきゅっと食い込ませると、程良い弾力が跳ね返って来る。

飢えた獣が目の前に現れた餌に食いつくようだと、もう一人の自分が鼻で笑う。余裕のない男だと思われているだろうか。

しかし、ここまで膨れ上がった情欲は、今さら自分の意志一つで止められそうになかった。

「ぁ…蒙恬…」

信の両腕が蒙恬の頭をそっと抱き込む。甘い肌の匂いにくらりと眩暈がした。

言葉には出さないけれど、自分を受け入れてくれるのだと思い、蒙恬は歓喜に胸を弾けさせた。

素肌に溶け込んでしまいそうな桃色の芽を指でくすぐると、信が切なげに眉根を寄せる。

「ん、ぁっ…」

反対の胸の芽に舌を伸ばすと、唾液でぬめった感触が染みたのか、信の唇から声が洩れる。

決して嫌悪の色はなく、むしろ心地良さそうにしているのを見ると、もっと声を上げさせたくなる。

「ッ、ふ、うぅ…ん…」

上下の唇で強く吸い付くと、切ない吐息が零れた。

ずっと恋い焦がれて止まなかった女性が自分の下で喘いでいる。今まで見たことのない表情を見せてくれる。

たったそれだけで蒙恬の情欲はこれ以上ないほど膨れ上がった。

戦の度に増えていく傷痕は胸や腹にも刻まれている。しかし、どれも醜いとは思わない。彼女が死地を生き抜いた証だからだ。

傷痕に沿って脇腹に唇を落とすと、信が小さく身を捩った。

「くすぐったい、だろ…」

大将軍として戦に出る彼女に弱点などないと思っていた。しかし、こういうところが意外と弱いのだと知り得た蒙恬は得意気になって、敏感な脇腹に吸い付く。

白い肌に赤い痕をつけると、ようやくこの体を自分のものに出来たような気がした。

 

独占欲

はあはあと息を切らしながら、信が膝を擦り合わせている。蒙恬は彼女の臍の下に手を押し当てた。

こんな薄い腹に子を宿せるのかと思うと、とても不思議な気持ちになる。

「ッ、ぅ、…ん…」

敷布を握りながら、信が何かを堪えるような声を上げた。

「信…触っていい?」

あえて場所は口に出さなかったが、確かめるように問い掛けると、信は強く目を閉じたまま頷いた。

彼女の膝を立て、中に腰を割り挿れる。足の間に手を伸ばすと、淫華から熱気と湿り気を感じた。

信の体が女として自分を求めてくれているのだと思うと、それだけで興奮が止まらなくなる。

彼女は自分のことを、色んな男の使い古しだと卑下していたが、蒙恬にとってそんなのは些細なことだった。

足の間にある淫華は羞恥のせいか、僅かに震えているように見える。

使い古しだなんて思えないほど艶があって血色が良く、しかし、淫靡さは増して見えた。

閉じている花襞の割れ目をなぞるように指を上下に擦りつけると、信の腰がぴくりと跳ねる。

色話を聞かない信も、人目のつかない場所では自分で弄ることはあるのだろうか。そんな妄想をするだけで、蒙恬は後ろめたさを覚えてしまう。

自分が名前も顔も覚えていない女を抱きながら、信のことを想い続けていたように、信も誰かのことを想って自慰に浸っていたのだろうか。

彼女が自分じゃない男のことを想いながら、自分を慰めていたのかと思うと、胸が張り裂けそうだった。

「ッ!蒙恬…ッ?」

膝を抱えて、身を屈めた蒙恬に信が驚いて声を掛ける。自分の足の間に顔を埋めている彼にぎょっとした表情を浮かべていた。

「ひゃッ…」

未だ閉じている花襞を抉じ開けるように、今度は舌を押し付けた。

「いや、やめっ…」

まさかそんなところを舐められるとは思わなかったらしく、信が首を振って嫌がる。蒙恬の茶髪を掴んで引き離そうとするが、力が上手く入らないらしい。

「あぅうッ」

唾液で滑った舌が花襞を掻き分けて、中に入り込むと、信が白い喉を突き出した。

中で舌を動かす度に、もっとして欲しいと言わんばかりに蜜が溢れて来る。

じゅる、とわざと音を立てて蜜に吸い付くと、信がいよいよ涙目になっていた。

「やあっ、蒙恬ッ…それ、嫌だぁっ…」

過去に信の体を使った男たちには、こんな仕打ちをされたことはないのだろう。むしろそのことに蒙恬は心地良さを覚えながら、逃げようとする信の細腰を捕まえて舌を動かし続けた。

「ひぃッ」

充血して美味そうにぷっくりと膨らんだ花芯に、尖らせた舌先を伸ばせば、信の体が大きく跳ねた。

官能を司る女の急所だ。ここを責められて泣かない女はいない。信でさえこの様子なのだから、それは女の共通点だと確信出来た。

「やめっ、ろぉ…挿れんなら、さっさと、しろってばぁ…!」

「やだ」

急かすようにそう言われて、蒙恬はあっさりと首を横に振った。

この体を過去に好き勝手した男たちと自分は違うのだと、自分という存在を彼女の体に刻み込みたかった。

先ほど伝えたように、信の体を使って自慰をする訳じゃない。信にも同じだけ気持ち良くなってもらいたい。

「ふう、ぅん、くっ…」

刺激に耐えようと、信が敷布に身体を押し付けている。

信の素肌がしっとりと汗ばんで来ているのが分かった。懸命に声を堪えようとする姿がまた男を煽っている。

「あっ、だめ、だ…!」

敏感になっている花芯を指の腹で押し潰すようにして、淫華の入口を舌で解していると、信の筋肉で引き締まった内腿が不自然なほど痙攣を始めた。

見上げると、余裕のない表情で信が首を横に振っている。

「やああッ」

それまで指で弄っていた花芯を今度は唇で強く吸い付いた。舌で解していた入り口に二本の指を押し進めると、信が悲鳴に近い声を上げる。

蜜でぬるつく中はとても温かくて、柔らかい肉壁が指の侵入を喜んでいるかのように打ち震えていた。

 

独占欲 その二

柔らかい肉壁の感触を味わうように、中に入れた二本の指を動かすと、信がひっきりなしに声を上げていた。

最後に彼女が男に身体を差し出したのは一体いつなのだろう。

色話も聞かないし、いつだって鍛錬に打ち込んでいたり、仲間たちと賑やかに過ごしている話を聞く限りは大分昔のことなのではないかと思った。

ひっきりなしに訪れる縁談を断っているのだから、こういうことは久しいのではないだろうか。

肩で息をしている信を見て、そろそろ限界が近いのだと察する。

「信っ…」

「んッ、んぅ」

中に指を入れ込んだまま、体を起こして、蒙恬は彼女に口づけた。

限界が迫って来ているからだろう、口づけの合間に苦しげな声が洩れる。鼻にかかる吐息もまた愛おしく感じて、蒙恬は堪らず舌を絡ませていた。

中で肉壁を擦り上げるように、指を鉤状に折り曲げると、信がくぐもった声を上げる。

蒙恬の体を押し退けようと、彼女の二本の手が肩を掴むが、蒙恬は構わずに指を動かし続けた。

「ひッ…んッ、んんーッ!」

最奥にある行き止まりを突くと、信の体が大きく跳ねた。

内腿の痙攣がより激しくなり、指を咥えている中がびくびくと震えている。達したのだと分かると、蒙恬は名残惜しいが口づけを終えた。

「はあ、はあッ…」

激しく胸を上下させながら息を整えている信は、顔を真っ赤にして、涙を流していた。

目尻を伝う涙に唇を落として、蒙恬は指を引き抜いた。

粘り気のある蜜に塗れた自分の指を見せつけるように舐めると、信が顔を真っ赤にしたまま、悔しそうに奥歯を噛み締めている。

「どう?俺、大人になったでしょ?」

彼女の中で蒙恬という存在は、いつまでも小さい子供のままだったのかもしれない。
しかし、他でもない自分が彼女を絶頂に導いたことは、信も受け入れざるを得ない事実だ。

「蒙恬っ…」

悔しそうな表情のまま、信が蒙恬を睨んでいた。まだ彼女の体は絶頂の余韻に体が浸っていて、上手く力が入らないでいるらしい。

しかし、ゆっくりと身体を起こした信が前屈みになって、蒙恬の足の間に身体を割り入れて来たので、蒙恬は目を丸めた。

「えっ、信?なにして…」

質問には答えず、根元に指を添えながら、信が上向いたままの男根を口に含んだ。

「ちょッ…信…!?」

先ほどはあんな余裕の笑みを彼女に見せつけておいて、蒙恬の男根はずっと勃起していた。

ずっと恋い焦がれていた女と肌を重ね合うことに、余裕でいられるはずがない。
余裕の笑みを繕っているのは表面上だけで、本当は微塵も余裕がないことを、信は見抜いていたのかもしれない。

まさか彼女が自ら男根を咥えてくれるとは思わなかったが、仕返しのつもりなのだろうか。

「ん、む…」

ぎこちない動きではあったが、敏感な鈴口を掃くように、熱い舌先が動いていく。上顎のざらついた感覚もたまらない。
口腔に溜まった唾液と合わさって、信の口の中で卑猥な水音が響いた。

(まずい…)

あまりの気持ち良さに、腰が引けそうだった。

口を使っているため鼻息を立てながら、信が男根に強く吸い付いて来た。口の中に溜まっている唾液のせいで、卑猥な水音が立ち、二人の鼓膜を震わせる。

「し、信っ…」

敏感な先端を唇と舌で愛撫され、根元は指で扱かれる。反対の手で陰嚢も優しく揉みしだかれると、頭に花が咲きそうなほどの快楽に襲われた。

このまま続けられては、呆気なく果ててしまいそうだ。

「待って、信、ほんと、降参…」

情けないほど声を震わせて白旗を上げると、信が満足そうな顔をして男根を解放してくれた。

素直に離してくれたことに安堵しながら、蒙恬は再び信と唇を重ねる。信も嫌がることなく、口づけを受け入れてくれた。

せっかく彼女に受け入れてもらえたのだから、果てるのならば彼女の中が良い。早く一つになりたかった。

「…挿れていい?」

上目遣いで尋ねると、信は躊躇うように視線を左右に泳がせた後、小さく頷いた。

 

本音

信の体を寝台の上に横たえて、蒙恬は膝裏を持ち上げた。

大きく足を開かせると、先ほどまで愛撫していた淫華が剥き出しになる。

いよいよ信と身を繋げるのだと思うと、蒙恬の心臓は、はち切れてしまいそうなほど、激しく脈打っていた。

信も羞恥で顔を真っ赤にしており、見られるのが恥ずかしいのか、両腕を交差させて顔を隠していた。

淫華の中心に男根の先端を押し付ける。

「んっ…」

入り口を覆っている花襞を男根で押し開くと、信の体がぴくりと跳ねた。

「挿れるよ」

小声で囁くと、顔を隠したままではあるが、信が小さく頷く。蒙恬は躊躇うことなく、腰を前に押し出した。

蜜で濡れそぼった淫華に男根の先端を潜り込ませると、押し返されてしまいそうな弾力があった。

負けじと腰を前に進め、男根を淫華の中に進めていく。

「っぅうう…!」

苦しそうな声がして、蒙恬は反射的に腰を止めた。まだ半分までしか挿れていないのだが、苦痛に顔を歪めている。

信が男と体を重ねるのは、随分と久しいのだと察していたのだが、無理をさせてしまっただろうか。

「え…?」

視線を下ろすと、信の淫華に突き刺さっている男根に赤い筋が伝っているのが見えた。

それが血であることと、自分の男根が淫華を串刺しにして傷をつけたのだと分かり、蒙恬は驚愕する。

両腕で顔を隠している信と、繋がっている部分を交互に見て、蒙恬は思わず瞬きを繰り返した。

「え…えっ…!?信…?」

「…う、ぅぐ…」

驚きのあまり、ろくな言葉を掛けることが出来ずにいると、腕で顔を隠しながら、信が苦しそうに呻いているのが分かった。隠している顔は耳まで真っ赤になっている。

信が処女だった・・・・・のだと頭が理解するまでに、やや時間が掛かった。

思わず蒙恬は彼女に問い掛けていた。

「な、なんで嘘吐いたんだよ…?初めてなら、もっと時間を掛けて…」

体を重ねる前にも、露台でも、信は自分の過去について話していた。下僕時代に男たちに手酷い扱いを受けたことを比喩するのに、自らを男たちの使い古し・・・・・・・・だと卑下していた。

てっきり男を受け入れた経験があるのだとばかり思っていた蒙恬は、早く彼女と一つになりたいあまり、前戯に時間を掛けなかったことを激しく後悔する。

男根を深く咥え込みながら、信はぐすぐすと鼻を啜っていた。両腕で顔を隠したまま、彼女が嘘を吐いた理由を白状する。

「…ああ言えば、俺のこと軽蔑して、とっとと諦めるだろうって、思ってたのに…ああ、くそっ…なんで、お前は…」

独り言のような言葉を聞きながら、この体を始めて拓いたのは他の誰でもない自分なのだと分かり、蒙恬は胸が喜びに満ちていくのを感じていた。

口淫もどこかぎこちなく行っていたのは、緊張のせいではなく、経験がなかったからだったのだ。

破瓜の痛みに打ち震えている信に申し訳ないと思いながらも、歓喜のあまり、口元がだらしなく緩んでしまう。

諦めさせるどころか、自分のことを煽った信の行動の矛盾に、本当は信も自分と同じ気持ちでいたのだと理解する。

「…何度も言ってるでしょ。信が下僕出身なんて、俺にはどうでも良いことなんだよ」

男根が馴染むまで腰を動かさずにいることを決め、蒙恬は顔を隠す信の両手掴んで、敷布の上に横たえた。指と指を絡ませながら、彼女の額に唇を落とす。

ぐすっと大きく鼻を啜ってから、信は泣き笑いのような表情を浮かべていた。

「…俺みたいな女を、嫁になんて…蒙武将軍が許さねえだろ」

うっすらと涙を浮かべながら、信がそう言ったので、蒙恬は満面の笑みを浮かべる。

「それは大丈夫。父上とも、信と同じ約束してたから」

「…は?」

言葉の意味を理解出来なかったのか、信がつぶらな瞳をさらに目を丸める。破瓜の痛みを一瞬忘れてしまうほど、驚いているようだった。

「軍師学校を首席で卒業して、将軍になったら信と結婚する。信と同じ約束を、父上ともしてたんだよ」

「な、なんだと…!?」

真っ赤になっていた顔が、今度はみるみるうちに青ざめていく。追い打ちを掛けるように蒙恬は言葉を続けた。

「きっと信はさあ、出来ないと思って俺にそんな条件を言い渡したと思うけど、残念だったね?俺、優秀だから」

「~~~ッ…」

狼狽えて言葉を出せずにいる信に、蒙恬は再び唇を重ねた。

「ん、ぅ」

遠慮なく舌を絡ませ、深い口づけを交わしてから、蒙恬は顔を離す。互いの唇を繋ぐ唾液の糸をぺろりと舌で舐め取った。

「これでもう不安材料は消えた?俺のお嫁さんになってくれるでしょ?」

尋ねておきながら、答えは一つしか聞き入れる気はなかった。

 

本音 その二

「…もっと奥、挿れていい?」

確認するように信の耳元で囁くと、彼女は蒙恬から目を背けながら、小さく頷いた。

今の会話で少しは体の力が抜けたのか、彼女の強張っていた表情が先ほどより和らいでいる。

敷布の上で指を絡ませたまま、蒙恬はゆっくりと腰を前に押し出した。

「んッ、ん、く…」

切なげに寄せられた眉根に唇を落とす。彼女の反応を確かめながら少しずつ腰を進めていき、蒙恬は男根が全て信の中に飲み込まれたことを実感した。

「信…」

隙間なく密着している結合部を見下ろし、やっと一つになれたのだと、蒙恬は長い息を吐いた。

熱くて蜜に塗れたそこに包まれているだけで、脳天にまで快楽が走り抜ける。すぐにでも腰を動かしたい欲望を必死に押さえつけて、蒙恬は再びお互いの性器が馴染むまで待っていた。

「信、辛くない?」

生娘を相手にしたことがあるのは初めてではない。破瓜の痛みは男の想像には及ばないほどのものだというが、過去に相手をした女性や、今の信を見れば確かにその通りなのだろう。

切なげに眉根を寄せているが、先ほどよりは顔に余裕がある。

「う、…ぅんん」

唇を重ねながら、蒙恬がゆっくりと腰を引いた。

「んんぅッ」

一度引いた腰を前に押し出すと、信の眉間に刻まれている皺が深くなる。挿れた時ほどではないが、まだ奥は辛いようだ。

「ふ、あぁ…」

もう一度腰を引くと、わざと浅瀬を穿った。

亀頭と陰茎の間にあるくびれを使って、花襞を捲り上げるように擦り付ける。浅瀬の刺激を続けていると、信の声色に次第に変化が訪れて来た。

「あ、ん…ぁあ…」

苦痛に塗れた声ではない。微かに快楽も混じっている吐息のような、甘い声だった。

「ひゃッ…!」

男根を咥えている少し上にある花芯に触れると、信の体がびくりと跳ねた。先ほど唇と舌で弄った時も特に善がっていた場所である。女の急所なのだから、感じないはずがない。

中を浅く穿ちながら、花芯を指で擦ると、信は顔をくしゃくしゃに歪めた。

「蒙恬ッ…」

涙で濡れた瞳が蒙恬を見つめている。
その瞳に射抜かれて、蒙恬は心からこの女を愛していると感じた。

「信ッ…好き、好きだよ、大好き」

子どものような口調だったが、勝手に口から愛の言葉が溢れて止まない。

大人になったのだから、もっと格好つけて彼女に愛の言葉を囁きながら、導いてあげたかった。

「信…!」

名前を呼ぶと、信が微笑むように目を細めた。堰を切ったかのように溢れ出た想いはもう抑え切れそうになかった。

喜悦に染まった声が聞きたくて、再び男根を奥へと潜らせる。

「ぁああっ」

先ほどまで浅瀬での刺激を続けていたからか、彼女の声に苦痛の色はもうなかった。

「くッ…!」

柔らかい肉壁に包まれている男根から目も眩むような快楽が押し寄せてきて、蒙恬は思わず食い縛った歯の隙間から息を吐く。

このまま快楽に身を委ねれば、きっと信を抱き殺してしまうだろう。

理性を繋ぎ止めながら、蒙恬はゆっくりと腰を動かし続けた。自分を生殺しにしている自覚はあったが、信の方が大事だ。

「っあ、んッ、ぅあ」

少しずつ男根の存在に慣れて来たのだろう。初めて男を受け入れた其処は未だきつく締め上げて来るものの、一度貫通したお陰で道が拓いていた。

「ひぐっ」

女にしかない尊い臓器を突き上げると、信がくぐもった声を上げる。交錯させた彼女の指に力が入ったのが分かった。

まるでもっとして欲しいと男根に吸い付いて来る肉壁の生々しい感覚が堪らなくて、蒙恬は息を荒げながら夢中で腰を動かしていた。

寝台が激しく軋む音と、肉の打擲音に合わさって信の喘ぎ声が重なる。鼓膜まで至福な音に揺らされて、眩暈がしそうだった。

最奥にある子宮を突き上げる度、体の芯まで揺さぶられるように、信の声が一際大きくなった。

「信っ、好き、ずっと好きだよ」

「う、ぅんッ…!」

ぼろぼろと涙を流しながら、信が頷いたのを見て、蒙恬の胸を大きな喜悦が貫いた。

言葉にはされなかったものの、やはり彼女も自分と同じ想いだったのだ。

「んんッ」

唇を重ね、舌を絡め合いながら、蒙恬は信の体を強く抱き締めた。彼女の細身が寝台から浮き上がるほど、激しい腰使いで最奥を突く。

口づけの合間に上手く呼吸が出来ず、信が目を白黒させている。しかし、蒙恬はやめようとしなかった。もう今さらやめられるはずがなかった。

目も眩むような快楽が全身を貫いた途端、蒙恬は彼女の蜜華から男根を引き抜いた。

「はあッ…あッ…」

自分の手で男根の根元を扱きながら、彼女の臍の辺りに熱い白濁を降り注ぐ。

下腹部の痙攣が落ち着いた頃に、長い射精が終わり、二人は静かに息を整えていた。

 

初夜

ようやく息が整った頃、蒙恬は信の隣に倒れ込んだ。

「…ねえ、夢じゃないよね?」

天井を見上げながら問い掛けると、隣から信が手を伸ばして来て、蒙恬の頬を思い切り抓った。

「痛いっ」

容赦なく頬を抓られて、蒙恬は悲鳴に近い声を上げる。信の手首を掴んで頬から引き剥がすと、小さな笑い声が聞こえた。

顔だけ動かして信の方を見ると、彼女の頬には涙の痕がいくつも残っていた。目も真っ赤に充血している。

破瓜の痛みを耐えてまで、自分を受け入れてくれたのだと思うと、蒙恬の胸に愛おしさが込み上げた。

「信…」

寝台に横たわったまま彼女を抱き寄せると、信が腕の中で力なく暴れる。

「おい、もうしねえよッ?」

「うん、しない」

柔らかい彼女の体を抱き締める。素肌の温もりを感じながら、蒙恬はうっとりと目を閉じた。

「…嫡男のくせに、いつまでも甘えただな」

信の指が蒙恬の髪を梳く。こんな風に頭を撫でてくれたのは、幼い頃以来だった。

こんなにも大人になったはずなのに、彼女の瞳には、蒙恬という存在は未だ背伸びした子どもに見えているのかもしれない。

「信は、その甘えたな嫡男に愛されてるんだよ」

皮肉っぽく言い返すと、信は諦めたようにわざとらしく溜息を吐き、それから頬を緩ませた。

「…まだ信から聞いてないんだけど」

「え?」

上目遣いで、蒙恬が信を見据えた。

何をとは言わなかったが、どうやら信も自覚があるらしく、目を泳がせている。

「そ、そういうのは…その、安易に口に出すもんじゃねえだろ」

意外な言葉が返って来た。

「え?将軍昇格のお祝いの言葉はくれたのに?」

「それとこれとは話が違う」

どうあっても、自分の口から愛の言葉を囁く気はないらしい。そうだとしても、一言も聞かせてくれないのはずるいと蒙恬が頬を膨らませる。

「あーあ…俺、せっかく将軍昇格したのに、このままじゃ飛信軍に殺されるかも…いや、大王様から処刑を言い渡されるかもしれない」

「は?なんでだよ」

訳が分からないと信が眉根を寄せる。涙を拭う演技をしながら、蒙恬は言葉を続けた。

「だって、誤解されたら、言い逃れ出来ないし…」

信の意志がそこにないのに、無理やり蒙恬が事に及んだのだと思われれば、きっと信の周りの者たちは黙っていないだろう。

嬴政は二人でよく話し合えと場を設けてくれたが、親友である信が無理やり犯されたとなれば伍長に戻すどころの処罰など生温いと思うはずだ。

「はあ…せっかくここまで頑張って来たのに、短い命だったなあ…」

泣く演技を続けていると、信が大きく溜息を吐いた。二人の間に束の間の沈黙が横たわる。

「…好きだ」

信の唇から零れた言葉を、蒙恬は聞き逃さなかった。勢いよく体を起こし、横たわっている彼女の体に再び跨る。

「俺も、大好き」

唇を重ねると、信の方から口を開けてくれた。

どちらともなく舌を絡ませているうちに、再び下半身が重くなっていく。

信の体を抱き締めながら、彼女の体にそそり立って来た男根を擦り付けると、信の顔がみるみるうちに真っ赤になっていくのが分かった。

「もうしねえよッ!」

蒙恬の体を両腕で押し退けながら、信が怒鳴った。

「うん、今夜我慢する。時間はたっぷりあるからね」

「ほんと、お前ってやつは…」

男根は苦しそうなほど勃起してしまったが、焦ることはないと蒙恬は自分に言い聞かせた。
これから彼女と一緒に過ごす時間は、たくさんあるのだから。

 

…初恋は実らないという迷信は確かに存在したのかもしれない。

しかし、今もなお燃え続けているこの愛情が本物の恋ならば、初恋が実らなかったからこそ、出会えた運命だったのだろう。

 

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