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初恋の行方(蒙恬×信)後日編・後編

初恋の行方5
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  • ※信の設定が特殊です。
  • 女体化・王騎と摎の娘になってます。
  • 一人称や口調は変わらずですが、年齢とかその辺は都合の良いように合わせてます。
  • 蒙恬×信/ギャグ寄り/年齢差/IF話/ハッピーエンド/All rights reserved.

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

前編はこちら

 

二度目の情事

「っ…ん、…」

首筋に舌を這わせている時は、僅かに体を震わせるばかりだったが、舌先が胸元を辿った時、信が唇を噛み締めたのが分かった。

胸の芽を二本の指で優しく挟むと、信が手の甲で自分の口を塞いだので、蒙恬は舌先を尖らせて其処を突いた。

「ふ、…」

柔らかい胸の感触を手の平で味わいながら、反対の胸は口で愛撫する。

胸の芽を唇で挟んだり、舌先で転がすように刺激すると、信の体がびくびくと震えていた。
その反応から胸の先端が感じるのだと察した蒙恬は。粘着的に刺激を続けていく。

「っ…ん、っふ…」

あの夜と違って、まだ陽が沈んでいないため、信の恥ずかしがる様子がよく見える。

目が合うと、全身の血液が顔に集まったのではないかと思うほど、信が顔を真っ赤にしている。

羞恥からか、咄嗟に目を逸らした信を叱りつけるように、蒙恬は咥えている胸の芽に軽く歯を立てた。

「んあッ」

蓋をしていた口から、愛らしい声が上がる。慌てて信が両手で口に蓋をしたのを見て、蒙恬は意地悪な笑みを浮かべた。

歯を立てた部位にねっとりと舌を這わせ、今度は強く吸い上げる。

「ぁッ、ん…」

怯えと困惑が入り混じった瞳を向けられて、蒙恬は怖いことは何もないと安心させるために目を細めて微笑んだ。

その笑みがどれだけ妖艶に象られて女を狂わせるか、きっと蒙恬自身は気づいていないだろう。信の背筋がぞくりと甘く痺れた。

「んんうッ」

軽く歯を立てるだけでなく、反対の胸の芽を強く摘ままれ、腰が抜けるような快楽が突き抜ける。

手の平いっぱいに伝わる柔らかい胸は、男を夢中にさせる魔力を持っている。幼い頃から幾度となく触れた経験はあるのだが、やはり相手が信だと特別な感情が込み上げる。

「ふう、うぅんッ…」

そそり立っている胸の芽も忘れずに摘まんで可愛がってやると、信が鼻奥で悶えるような声を上げた。

初夜の時も先ほどもそうだったが、胸の芽を責めると、信の声色が変わることに蒙恬は気づいていた。

「…ここ、好きなの?」

部屋には自分たちしかいないというのに、秘密事を共有するかのように、小声で問い掛ける。

花芯を責めた時とは違って、閉じた瞼と長い睫毛を震わせながら小さく頷いたのを、蒙恬は見逃さなかった。

両手で優しく包み込み、胸の曲線をなぞるように指を滑らせる。時折、指の腹を擦り付けるように胸の芽を転がすと、もどかしい刺激に信が淫靡な顔で喘いだ。

「ぁっ…はあ、…ぁ…」

舌先で弾いたり、上下の唇で優しく包み込んでやってからようやく胸から口を離した。今後は彼女の足の間に手を伸ばす。

「あ、ま、待って…」

信が蒙恬の手を押さえるよりも早く、彼の手は熱気と湿り気のある其処に到達してしまう。すでに淫華は蜜で濡れそぼっていて、指に絡み付いて来る。

「う…」

蜜が溢れていることに気づかれて恥ずかしいのか、信は顔を背けて敷布に押し付けた。

普段から体と同じくらい素直になってくれればいいのにと、蒙恬は堪らず頬を緩めた。

 

 

すぐに指を挿れる真似はせず、蒙恬は焦らすように花弁の合わせ目を指で何度もなぞった。指を動かす度に淫靡な水音がする。信にも聞こえているだろう。

「ふっ、ぅん…ッ…!」

何度も腰を跳ねさせて、信は幼子のように首を横に振っていた。口から手を離せばすぐにでも声が上がってしまうのだと本人も分かっているのだろう。

この場には自分たちしかいないというのに、ここまで意固地に声を堪えるのは、羞恥心と自尊心によるものなのかもしれない。

しかし、蒙恬は懇願されてもやめるつもりはなかった。彼女の意志を無視して強引に迫るのとは違うが、自分にだけは本音を隠さなくて良いのだと、その体に教え込みたかったのだ。

花弁の合わせ目を指でくすぐっていると、蜜の滑りで指が奥へ吸い込まれてしまう。
浅瀬で指を動かしていると、焦らすような刺激に花芯が顔を覗かせていた。

「ッんう…!」

指の腹を擦り付けるように花芯をくすぐると、信の体が大きく跳ね上がる。特に感じる女の共通点だ。

体を下にずらしていき、蒙恬は彼女の膝裏を掴んで大きく脚を広げさせ、その間に身体を割り入れた。

身を屈めて、彼女の脚の間に顔を埋める形になると、信がぎょっと顔を強張らせる。

「あっ、それやだ…!」

子供のような口調で信が身を捩る。

「これ?」

拒絶の言葉だと分かりながらも、蒙恬は唾液を纏った舌を伸ばした。

「っふぅうッ」

先ほど指で触れていた花芯を覆うように舌でくすぐると、信の体が大きく仰け反った。

「信の好きなとこ、ちゃんと声に出して教えて?」

脚の間に顔を埋めながらそう言うと、涙で濡れた瞳が狼狽えている。

慈悲を乞うような縋るような眼差しを向けられても、蒙恬は彼女の言葉で聞くまでやめるつもりはなかった。

「ぁあッ!」

細腰を引き戻し、蒙恬は唇と舌を使って重点的に花芯を舐る。

「教えてくれないならこのままだよ」

「あっ、ぁあッ、待っ、てぇ…だめだ、って…!」

初めて体を繋げた時も重点的に責めた箇所だ。
舌と指を使った愛撫は、あまりに刺激が強くて、信は苦手のようだったが、素直に声を上げさせるにはこの急所を責めるのが一番手っ取り早いだろう。

「ぅううッ」

「ほら、早く教えてくれないと、このまま続けちゃうよ?」

確信を得るまで性感帯への刺激を続けようと、蒙恬は意地悪な笑みを浮かべた。

もちろん中の刺激も忘れない。指をもう一本増やして、鉤状に曲げたり、信の良いところを執拗に探る。

蜜でぬるぬると滑る中は温かくて、気を許せばすぐにでも男根を挿れてしまいそうだった。
触れてもいないというのに、蒙恬の男根は早く彼女の中に入りたいと痛いくらいに訴えている。

今まで相手をして来た貴族の娘たちと共に褥に入った時でさえ、こんなすぐに上向くことはなかったのに、やはり信を前にすると余裕がなくなってしまう。

初夜の時は、信と早く一つになりたいという気持ちに急いていたので、今みたいにじっくりと彼女の身体を味わうことが出来なかった。

しかし、これからゆっくりと知っていけばいいと、蒙恬は自分に言い聞かせ、性急にならないように刺激を続けた。

「やあッ、やだって、やめろッ…」

信の両手が蒙恬の髪を掴んだ。頭を引き離そうとするものの、その手には少しも力が入っていない。

花芯を舌で突いたり、唇で挟んだりするうちに、淫華からどんどん蜜が溢れていく。

中にも刺激が欲しいと訴えているように、淫華がひくついているのを見て、蒙恬は堪らず指を突き挿れた。蜜に濡れた其処はすでに破瓜が破られているせいか、すんなりと蒙恬の指を受け入れた。

「っうう…!」

内側と外側を同時に責め立てられ、信が泣きそうな声を上げる。閉じそうになった両脚を押さえつけながら、蒙恬は舌と指を動かして淫華を責め立てた。

「あっ、あぁ、ぅ…あ、んッ」

もはや口に蓋をすることも忘れ、信は蒙恬の髪を力なく掴んだままでいる。

まるでもっとして欲しいと淫華に頭を押し付けられているようだ。彼女の望むままにと強く花芯を吸い上げ、その裏側を突き上げるように指を持ち上げた。

「ッ、ぁああッ…!」

喜悦の悲鳴と共に、信の腰が浮き上がったかと思うと、中に差し込んでいる指がぎゅうと締め付けられた。

「そ、そこ、すき、好き、ぁ、からッ…!」

ついに観念したのか、もつれた舌で信がたどたどしい言葉を紡いだ。やっと教えてくれたと蒙恬が目を細める。

「好き?ここが好きなの?」

「う、んッ、んん」

唇を離しても、花芯を親指の腹で擦りながらわざとらしく問い掛けると、信が何度も首を縦に振る。嘘ではないと体が訴えているのか、内腿がぶるぶると震えていた。

信からしてみれば、素直に性感帯を自白すればすぐにやめてくれると思っていたのだろう。しかし、蒙恬はもちろんやめるつもりはなかった。それどころか、もっと善がり狂わせたいとさえ思ってしまう。

やめる素振りを見せないことに、裏切られたと言わんばかりに信が目を見開いた。しかし、蒙恬は構わずに、甘い声で話し続ける。

「ここを、どんなふうにされるのが良いの?」

わざわざ言葉にせずとも信の反応を見れば分かることだが、蒙恬はあえて問い掛けた。言葉にさせることで、行為に不慣れな彼女を、さらに快楽を導いてやりたかった。

「ぜ、ぜ、んぶ、良いっ…!」

もうなりふり構っていられないのだろう。信の内腿が不自然に震え始める。

もっと素直に指と舌で責められるのが好きだと聞きたかったのだが、これから二人で過ごす時間はたっぷりあるのだし、蒙恬はそれ以上追及することはなく、花芯に吸い付いて、裏側を指で強く突き上げた。

「や、ぁああッ」

甲高い悲鳴と共に、信の腰が浮き上がる。

女性の達し方は男の射精とは異なるが、総身を硬直させて子種を搾り取ろうと、これ以上ないほど激しく中がうねるのでとても分かりやすい。

「ぁ…はあっ…ぁ…」

硬直を解いた体が寝台の上にくたりと倒れ込み、激しく胸を上下させていた。

 

二度目の情事 その二

荒々しい呼吸の中で、鼻を啜る音がして、蒙恬は顔を上げて信を見た。

涙に濡れた弱々しい双眸と目が合い、ぎょっとする。

「し、信ッ、ごめ…そんな、つもりじゃ…」

ぐすぐすと鼻を啜りながら涙を流している信が目を逸らした。その瞳に軽蔑の色が見て取れ、蒙恬の胸に重い不安が圧し掛かる。

初めて体を重ねた時、信は処女だった。こういった情事に慣れていないのは当然である。

しかし、彼女の本音を知りたい気持ちや、善がり狂う姿が見たいという意志が前面に出てしまい、無理強いをさせてしまった。

せっかく仲直りが出来たのにまた嫌われてしまったと思うと、蒙恬はそれだけで泣きそうになった。

狼狽えながらも慌てて体を起こして謝罪する蒙恬に、信がむくれ顔になっている。
それから彼女がゆっくりと身を起こし、蒙恬の足の間に顔を埋めて来た。

「へっ?」

殴られるか罵倒されるに違いないと思っていたため、予想外の行動に呆気に取られているうちに、男根の先端に生暖かい感触が染みる。

信が躊躇いもなく、自分の男根を咥えている光景の既視感に、蒙恬はしばらく言葉を忘れていた。

「あっ、えッ、ちょっ、信ッ?」

陰茎に舌が絡み付き、つるつるとした口蓋に先端が擦られる。

驚いて彼女の頭を放そうとすると、陰茎と亀頭のくびれの部分を強く吸い付かれて、あまりの気持ち良さに蒙恬は喉を引き攣らせた。

その反応を上目遣いで見た信が妖艶な笑みを浮かべたので、蒙恬はまさかと顔を引きつらせる。

この光景に既視感があるのは当然だ。信と初めて身を繋げた時も、こうして彼女が自分の男根を咥えてくれた。

口と指の刺激で絶頂に導かれたことに、信が仕返しと言わんばかりに慣れない口淫をしてくれたのだ。まさかあの時と同じ目に遭うとは思わなかった。

あの時はすぐに降参したため、信は途中でやめてくれたのだが、今はそんな素振りを少しも見せていない。

「し、信、ちょ、っと、待って…!ッあ…」

制止を求めるものの、信は構わずに舌を動かす。唾液に塗れた口の中に陰茎を擦り付けるだけでなく、敏感な鈴口を舌で這われたり、尖らせてた舌先で鈴口を突かれると、それだけで目が眩むような快楽が全身を貫いた。

信も嫌だと言っていたのに無理強いをしたので、その仕返しをされているのだと気づき、蒙恬は焦燥感に頬を引き攣らせた。

ただでさえ恋い焦がれた女が、自分の男根をその口に咥えているという悩殺的な光景を目にしているのだ。

今まで褥を共にして来た女性たちから同じ行為をされているはずなのに、この光景を目の当たりにしているだけで、達してしまいそうになるのは信だけだ。

「ん、んむっ…」

輪を作った指で根元を扱かれて、頭を上下に動かされる。

口いっぱいに自分の男根を咥え込るだけでなく蒙恬の反応を確かめるために上目遣いで見上げて来る信の姿に、蒙恬はぐらりと眩暈を覚えた。

鼻奥で悶えるような声でさえ淫らで、男の欲を煽る。もしも自分以外の男が今の彼女を見れば、その魅力に骨抜きになって、すぐに信の体を組み敷いてしまうだろう。こんな彼女の姿を、絶対に誰にも見せたくないと思った。

多くの女性を虜にして来た蒙恬でさえこの有り様なのだから、自信を持って断言出来る。

「はッ、ぁ…信ッ…」

息を切らしながら、蒙恬が信の黒髪を優しく掴む。

さりげなく彼女の頭を引き離そうとするものの、信は構わずに蒙恬の男根を口で刺激し続けた。意固地になって口淫を続けることから、執念のようなものを感じられる。やはり先ほどの仕返しなのだろう。

情事の経験が少ない彼女に指南するのは自分の役割だと思っているのだが、信は蒙恬の色々と試して蒙恬の反応を見ているのか、的確に良い場所を突いて来る。

本当に前まで処女だったのかと訝ってしまうほどだ。

「うぅッ…」

裏筋も忘れることなく、尖らせた舌先でなぞられると、蒙恬は思わず呻き声を上げてしまった。

自分でも聞いたことのない情けない声を聞かれてしまった羞恥心と、弱点を知られてしまった焦燥感に、心臓が爆発してしまいそうになる。

先ほどと立場が逆転したことを悟った信は、淫靡な笑みを浮かべながら、蒙恬に絶頂を迎えさせようと舌と指を動かす。

 

 

「っ、は、ぁっ、信、待って、ダメだって、ごめ、謝るからッ…」

下腹部から脳天へ突き上げるような快楽が込み上げて来る。

射精感に焦りを覚えながら、何とか信の頭を放そうとするのだが、信は太腿を掴んで来て、絶対に男根を咥えたまま離さない。

「…っん、んく…」

苦しくなるのは分かっているだろうに、喉奥まで男根を咥え込み、口の中に溜まった唾液が陰茎を濡らす。

鼻で荒々しく息をしながら頭を上下に動かす彼女に、男根が文字通り飲み込まれているのだと思うと、それだけで蒙恬は絶頂を迎えそうになった。

「ふ…ぅんッ」

男根を深く咥え込むと、下生えが鼻に当たってくすぐったいのか、切なげに眉を寄せながら瞬きを繰り返す。

止めなくてはと思うのだが、自分を絶頂へ導こうと、懸命に口淫している姿につい見惚れていると、くぐもった声と同時に男根を強く吸い上げられ、油断していた蒙恬は目を剥いた。

「あッ…信…待って…!」

大きく腰が跳ね上がると、頭の中が真っ白になるような快楽に包み込まれる。

下腹部が痙攣を起こすのと同時に、精液が尿道を駆け巡っていく感覚を、蒙恬は他人事のように感じていた。

どくどくと男根が脈打つ度に、喞筒ポンプのように精液を吐き出していく。

「……、……」

信は目を閉じたまま、口の中で蒙恬が射精し終えるのを待っていた。

「ん…ぅ」

尿道に残っている精液をちゅうと吸ってから、信はようやく男根を離してくれた。

信との情事は二度目だが、女性の口の中で射精してしまったのは生まれて初めてのことだったので、蒙恬はあからさまに狼狽える。

口淫をされるのは初めてではない。それに、恋い焦がれていた女性に口淫をされるのは、男なら誰でも一度は夢見る光景だろう。

それが初夜だけではなく、二度目も現実で行われたため、興奮のあまり、蒙恬は普段よりも早く達してしまったのである。

自分の方が信よりも圧倒的に情事の経験が多いというのに、彼女に良い想いをさせるどころか、仕返しに絶頂を迎えさせられてしまった。男として情けないと蒙恬は鼻を啜る。

しかし、男根から口を離した信がずっと口を閉ざしたままでいるのを見て、蒙恬はまさかと目を見開いた。

「あっ、し、信、だめッ!吐き出してっ」

絶頂の余韻に浸ることもなく、蒙恬は口を閉ざしたままでいる信に指示を出した。

しかし、信は吐き出す素振りは見せず、それどころか目を閉じたまま、小さく喉を動かし始める。

飲み込もうとしたに違いないが、粘り気のある精液が喉に絡まったのか、こほこほと小さくむせ込んだ。

しかし、吐き出すことはせず、何度かに分けて嚥下を行う。
少しも嫌悪することなく自分の精液を飲み込んだ信に、蒙恬の中で喜悦と羞恥が入り混じる。

視線が合うと、信が照れ臭そうに笑った。

こちらの気持ちを知った上でそのような表情を浮かべた信に、蒙恬は堪らなくなり、思わず抱き締めてしまう。

「んっ…」

唇を重ねたのもほぼ無意識だった。角度を変えて何度も唇を味わっていると、信が催促するように背中に腕を回して来た。

応えるように、彼女の身体を抱き締める腕に力を込めて口づけを深めていくと、仄かな苦味を感じる。

自分の吐き出した精液の味など一生知ることはないと思っていたのだが、思わず眉根を寄せてしまいそうになる独特な苦味だった。

信が飲み込む前はもっと濃厚だったに違いない。それを嫌悪することなく、飲み込んでくれたのだから、蒙恬の中で入り混じっていた喜悦と羞恥はますます大きくなっていった。

しかし、確かに言えることは、信が自分を愛してくれていることと、自分も信を愛していることである。

 

 

二度目の情事 その三

舌を絡めて精液の味を分かち合いながら、蒙恬は信の体を押し倒した。

彼女の口の中で達したばかりだというのに、口づけを深めていく中で、また情欲に火が灯ってしまう。

「ん…」

向かい合って密着している内腿に、再び上向いて来た男根を擦り付けると、信の身体が小さく震えた。

着物を脱ぐ前と同じように、信の手が男根を包み込み、ゆるゆると上下に扱き始める。

再び硬くそそり立たせようとするその手付きが、自分を求めてくれているのだと思うと、蒙恬はそれだけで興奮が止まらなかった。

浅ましいほどに、今の自分は目の前の女に欲情している。

初夜の時も、褥の中で優しく彼女を導こうとしたのに、頭で描いていた通りにはいかなかった。

信を嫁に迎えるという約束を交わした時と違い、立派な大人になったのだから余裕ある態度で彼女を抱きたかった。

しかし、信を前にすると、どれだけ黙考の独り稽古をしていても、余裕が消え去ってしまうのだ。

これほどまでに自分の心を搔き乱されるのは、きっと相手が信だからだろう。

「信…可愛い」

敷布の上で指を絡め合う。口づけだけでは物足りず、額や鼻、頬、それから耳に唇を落としていく。

可愛いという言葉を言われ慣れていないのか、彼女は照れ臭そうに顔ごと目をを逸らす。羞恥のせいで赤く透き通っている耳にも、唇を落とした。

「ひ、ぅ…」

耳に舌を差し込むと、信がぶわりと鳥肌を立てたのが分かった。
また彼女の好きな場所を見つけてしまったと得意気になった蒙恬は、耳の中をくすぐるように舌を動かす。

「ふ、あっ、ぁあっ、やッ…」

舌先から与えられる甘い刺激に、信が縋るものを探して、蒙恬と絡ませている手にぎゅっと力を込める。

愛らしくて、もっと自分のことだけで頭がいっぱいになってほしいと願う。

「…もう、いい?」

再び硬くそそり立った男根を下腹に擦り付けながら、蒙恬が耳元で囁いた。

何をとは告げなかったが、それが結合の許可だとすぐに察した信は恥ずかしそうに小さく頷いた。

「信…」

体を起こした蒙恬が信の膝裏を掴み上げ、大きく足を広げさせた。

初めて身を繋げる時、信は羞恥で真っ赤に染まった顔を両腕で隠していたのだが、今は違う。両手は敷布を掴んでいたが、顔を真っ赤にしながらも男根を受け入れる瞬間を見届けようと視線を向けていた。

男根の根元を掴んで、尖端を淫華に押し当てる。入口に押し当てているだけだというのに、中が蠢いているのが分かった。

早く欲しいと訴えているようで、蒙恬は堪らず生唾を飲む。

「んっ…」

蜜で濡れた花弁を巻き込みながら、奥へ進もうと腰を前に突き出した。

「ぁああッ」

初夜のような苦痛の声は聞かれなかったが、それでも狭いそこを男根が貫通するのは大きな衝撃なのだろう。

「はあッ…」

信も同じ快楽を得ていることを渇望しつつ、蒙恬は一度腰を止めた。

挿れている蒙恬だって、ただ体を繋げただけだというのに、腰が蕩けてしまいそうになる。
少しでも気を許せば、好きに腰を動かしてしまいそうだった。

しかし、まだ二度目の情事で、信の淫華は未だ男を受け入れることに慣れていない。破瓜は破ってあるとはいえ、無茶をさせたくなかった。

「…大丈夫?」

切なげに眉を寄せているものの、蒙恬の問いに、信は嘆息まじりに頷いた。

破瓜を破った時とは違い、その顔に苦痛の色は少しも滲んでいなかった。そのことにほっと胸を撫で下ろしながら、蒙恬は身を屈めて額に唇を落とした。

「ぁ…」

唇の感触が気持ち良かったのか、浅い部分を擦られて気持ち良いのか、信がうっとりと目を細めている。

蕩けた表情がもっと快楽に歪むのが見たくて、蒙恬はつい腰を動かしそうになった。

「蒙恬…?」

歯を食い縛っていると、信が不思議そうに首を傾げている。

絶対に無茶はさせまいと拳を握りながら、蒙恬は親に叱られる子供のような眼差しを向けた。

「信…あの、…ごめん、まだ半分なんだ」

「…え?」

何を言われているのか理解出来ないといった顔で、信がぽかんと口を開けた。

真っ赤になっていた顔が自分たちの下腹に視線を下げていき、まだ蒙恬の男根が根元まで収まり切っていないことを知ると、信がひゅっ、と笛を吹き間違ったような声を出す。

「なっ、えッ?だ、だって、もうこんなに…ッ…」

何を言わんとしているかは蒙恬にも分かったが、信の方も途中までそれを口走ったことに再び顔を赤らめている。

動揺で身体が緊張したからなのか、まだ半分までしか入っていない男根に肉壁が強く吸い付いて来た。

痛みは少しもないのだが、あまりの気持ち良さに理性が溶かされてしまいそうになる。

「あッ…そんなに、締め付けないで…」

切羽詰まった声を上げると、信が泣きそうな顔で狼狽えた。

「わ、悪い…!で、でも、ど、どうしたら…」

他の男と一切経験がないのだから、その反応は蒙恬にとって嬉しいものだった。

信は日頃から馬に乗っていることや、鍛錬をしているせいか、今まで相手にして来た女性と違って、特に強く男根を締め付けて来る。

他の女性たちよりも下半身の筋力が発達していることが大いに影響しているだろうのだろうが、いつまでの中に挿れていたくなるほど具合が良い。

ただ、それを名器という卑劣な言葉で表現するのは違う。きっと、これ以上ないほどお互いに体の相性が良いのだろう。

 

 

「…ゆっくり、息吐いてて。止めないで」

信の体を抱き締めながら指示を囁く。

縋るものを探すように、蒙恬の背中に腕を回しながら、信は、ふう、ふう、と必死に呼吸を繰り返していた。

半分まで入れ込んでいた男根を離すまいと締め付けていた淫華が僅かに緩む。その隙を見逃さず、蒙恬は一気に腰を前に突き出した。

「ッ、ぅあ、あぁッ…!」

無意識のうちに逃げようとする体を強く押さえ込み、最奥を突き上げると、信の身体が大きく仰け反った。

「は、…はぁ…ぁ…」

言われた通りに呼吸は止めず、蒙恬の男根を全て受け入れた信は、背中に回した腕にぎゅっと力を入れる。

すぐに動くことはせず、二人はしばらく抱き締め合ったままでいた。

隙間なく密着した互いの性器を見下ろして、蒙恬の胸は幸福感でいっぱいになった。
初めて身を結んだ時もこんなに幸せなことがあって良いのだろうかと思っていたが、愛しい女と一つになれるということは、男に生まれて来た喜びでもある。

初恋の失恋の痛みを乗り越えたからこその出会いだったのだ。

「信、辛くない?」

「…ぅ…」

閉ざした瞼と長い睫毛を震わせて、信は首を縦に振った。次なる許可を求めて、蒙恬が甘い声で尋ねる。

「動いても、いい?」

「っ…」

肩口に顔を埋めながら、信が確かに頷いた。許可を得た蒙恬は、ゆっくりと腰を引いていき、半分ほど男根を引き抜いてから再び淫華に押し込んだ。

「ん、んんッ…」

男根の先端に柔らかいものが触れると、信が切なげに眉根を寄せる。唇をきゅっと引き結んで、鼻に抜けるような声を洩らした。

ゆっくりと律動を繰り返し、最奥を突いていくと、繋がっている部分から粘り気のある卑猥な水音が響いた。

腰を引く度に、淫華が男根を放したくないと強く吸い付いて来るものだから、それだけで喉が引き攣ってしまいそうなほど、気持ちが良かった。

「ん、ぁうッ、はあッ…ぁ…」

自分と同じように荒い呼吸を繰り返している信が、背中に回した腕に力を込めた。

男根の芯が燃えるように疼いていく。彼女の中に挿れる前から、これ以上ないほど男根は硬く張り詰めていたのだが、もっと彼女と繋がりたいという欲が増していく。

腰を動かせば動かすほど密着感が増していき、眩暈がしそうなほど大きな快楽に包み込まれた。

「ぁ…信ッ…、気持ちいい…」

奥まで性器を繋げても、まだその先に行けそうで、今以上に一つになれるのではないかという感覚に襲われて、蒙恬は急き立てられるように腰を動かした。

自分の下で喘ぐ信の顔を見つめながら、絶頂に向けて上り詰めていく。

これ以上ないくらい繋がっているというのに、律動をすればするほど密着感が増していく。
このまま快楽で溶け合って、本当に一つになってしまいそうだ。

「信ッ…信ッ…!」

熱い脈動を続ける男根で信の貪っていく。
自分の腕の中で愛する女が喘でいる姿はこれ以上ないほど煽情的で、堪らず生唾を飲み込んでしまう。

唇を重ねて腰を動かせば、信も求めるように舌を絡ませて来る。

「ふ、んんッ、ぅう、んッ」

初夜の時もそうだったが、もっと余裕のある態度で彼女を抱きたいと思うのに、いざ体を繋げてしまうと、そんなことは考えられなくなってしまう。

幼い頃からずっと信に恋い焦がれていた子供の頃の自分が格好つけたがっているのだと思う。

情欲に勝てないのは浅ましいと思うけれど、信は初めて体を重ねた時の余裕のない自分を受け入れてくれたし、きっとこれからも自分を受け入れてくれるに違いない。

そんな優しい彼女だから、きっと自分の想いは変わることなく、信へ向けられたままでいるのだろう。

信以外の女性をこの腕に抱いている時でも、いつだって彼女の姿が頭の隅にあった。

ずっと自分と両想いだったと分かった時は、明日死ぬのではないかと不安を覚えるほど歓喜したし、同時に身分差を気にして自分を遠ざけようとしていた信の気持ちも愛情の裏返しだったのだと理解して、一生愛していくと決めた。

「ん、ぁあっ、も、蒙、恬ッ、…!」

口づけの合間に、切羽詰まった声で名前を呼ばれ、信自身ももう余裕が残されていないのだと瞬時に悟った。

息を止めて、最奥に向けて激しく腰を打ち付けていく。

「そ、そんな、に、したらッ…!」

背中に爪を立てて来たのは無意識だろう。蒙恬自身も余裕はなかったが、何とか笑みを繕う。

「大丈夫。何も怖くないから」

「うッ…んッ、あぁあっ」

泣きそうな返事の後、甲高い悲鳴と共に信の腰が跳ね上がった。

男根を咥えている中がうねるようにして、強く締め付けて来る感覚があって、先に信が達したのだとわかった。

「うッ…!」

激しく震える体を強く抱き締めて押さえつけると、視界が真っ白に塗り潰されそうになるほどの快感に襲われる。

「…ぁ…な、か…出す、のか?」

微かに色が残っている視界の中で、信に恍惚とした瞳で見据えられると、それだけで理性の糸が焼き切れてしまいそうになる。

もしも自分がそうだと返答しても、信は拒絶しないと分かっていた。

「ッ…出したい、けどッ…!」

しかし、蒙恬は顎が砕けるほど歯を食い縛って下腹部に力を入れた。理性が飛び掛ける寸前で、蒙恬は男根を淫華から引き抜く。

「はあッ…ぁ…」

荒い息を吐きながら男根を手で痛いくらいに扱きながら、蒙恬は信の腹の上で射精した。粘り気のある白濁が迸り、信の腹を汚す。

達したばかりの信は、どこか呆然とした表情でそれを見つめていた。

「もう少し、信と、二人きりの時間が欲しいから…」

その後は呼吸が整うまで、蒙恬は何も話さなかった。
信も顔に疲労を滲ませて、薄目を開けている。素肌で触れ合っている温もりが気持ち良いのか、微睡んでいるようだった。

 

初恋の行方

行為を終えた後、二人は身を寄せ合って、絶頂の後の心地よい疲労感に身を委ねていた。

過去にも色んな女性と褥を共にしていたが、行為を終えた後に身を寄せ合っていても、こんな風に心地よく眠気が誘われるのは信以外他に居なかった。

もし、初恋の家庭教師の女性と褥を共にしていたとしても、こんな時間はなかったかもしれない。

「…なんだよ」

薄く笑った気配を察して、信が不思議そうに顔を上げる。
肩までしっかり寝具をかけてやりながら、蒙恬は照れ臭そうに話し始めた。

「初恋が失恋に終わって良かったって、そう思ったんだ」

頭に疑問符を浮かべている信に、補足をするように言葉を続ける。

初恋は実らない・・・・・・・って、どこかの国の迷信があるんだって。その通りだったけど、…でも、そのおかげで信と出会えたから、今は初恋が実らなくて良かったって思うんだ」

したり顔でそう言うと、信がふうんと頷いた。

信に初恋の家庭教師の話をしたのは一度きりだ。
幼い頃、違法な奴隷商人に身売りをされそうになったのも、家庭教師の女性に会わせてくれると唆されたからである。

奴隷商人たちを捕らえた後で、信が自分の胸を触らせてくれたのは、家庭教師の女性に会えると思って騙された蒙恬を慰める手段だったという。
あれも初恋が失恋に終わったからこその褒美だと言えるだろう。

「…初恋は実らない、か…」

先ほど教えた迷信を独りごちるように繰り返した信が、意味深な素振りを見せたので、蒙恬はどうしたのだろうと目を丸める。

「…そうとも限らない・・・・・・・・けどな…」

「えっ?」

蒙恬が聞き返すと、信はしまったと言わんばかりに口を閉ざして目を泳がせた。

みるみるうちに耳まで顔を真っ赤にさせて、頭まで寝具に潜り込んだ彼女を見て、蒙恬の中の悪戯心が膨らんでいく。

初恋が実らないという迷信を否定したということは、つまりは初恋が実ったのだということだ。
迷信を否定した独り言と、その反応だけ見れば、信の初恋が他でもない自分だったのだと確信する。

興奮のあまり、心臓が潰えてしまいそうなほど、激しく胸が張り詰めた。

「ねえ、いつからっ?それって、いつからっ!?」

「~~~ッ!」

顔を隠していた寝具を奪い取り、肩を揺すって答えを聞き出そうとする蒙恬に、信は顔を真っ赤にしたまま何も答えない。

信と約束を交わした時はまだ幼かったし、男として意識されていなかったことは分かっていた。

だが、その後の軍師学校での功績や、初陣、昇格を通していくうちに、信も自分を一人の男として意識してくれるようになっていたのだ。

一体いつから自分に恋心を抱いていたのか、蒙恬はその答えが知りたくて、しかし、何としても信の口で言わせたかった。

いよいよ羞恥に耐え切れなくなったのか、信が真っ赤な顔で睨んで来る。

「う、うるせえなッ!頭良いくせに何で分からねえんだよッ!」

逆上されても、蒙恬は喜悦を浮かべた表情を一切崩さなかった。
彼女の柔らかい胸に顔を埋め、蒙恬はだらしなく頬を緩ませながら、さらに信の体を抱き締める。

「俺、信より年下だから、そういうの分かんないもん」

「嘘つけっ」

こういう時に年齢差を出すなんて卑怯だと信が反発する。

「嘘じゃない」

急に真顔に切り替わったことで、信は驚いて目を見開いた。

「だって、信が俺との初夜を思い出して恥ずかしがってたのも、本当は俺のこと好きなのにずっと気持ちを隠してたのも、教えてくれないと分からなかった」

「………」

思い当たる節が多いのか、反省したように信が腕の中で縮こまった。

額に唇を押し当て、蒙恬は得意気に微笑む。

「…だから、これからもっと教えてね?信のこと」

上目遣いで見上げると、信が戸惑ったように視線を泳がせる。

自分のことなら何でも知りたいという蒙恬の追求心に少しだけ恐怖心を抱きながらも、信はわざとらしく溜息を吐き、それから諦めたように笑った。

 

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