初恋のまじない(蒙恬×信)

初恋のまじない(蒙恬×信)中編②

初恋のまじない3
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  • ※信の設定が特殊です。
  • 女体化・王騎と摎の娘になってます。
  • 一人称や口調は変わらずですが、年齢とかその辺は都合の良いように合わせてます。
  • 蒙恬×信/ギャグ寄り/年齢差/IF話/嫉妬/ハッピーエンド/All rights reserved.

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

このお話は「初恋は盲目」の後日編です。

中編①はこちら

 

喧嘩

慌てて口を閉ざしたものの、すでにその言葉は蒙恬の耳にも入ってしまい、今さら取り消すことは出来ない。

まるで水を被せられたかのような静けさが部屋に広まる。気まずい沈黙に、信は肺に鉛が流し込まれたかのような感覚を覚えた。

嫌いだなんて、もちろん本心じゃない。しかし、それを否定する言葉を掛けられないのは、信の胸の内に湧き上がっている嫉妬心のせいだった。

「…信」

いきなり低い声で名前を呼ばれたので、信はどきりとする。恐る恐る顔を上げると、

「今のはさすがに傷ついたよ。謝らなくて良いから、今の言葉だけは撤回して」

怒りとも悲しみとも似つかない複雑な表情を浮かべた蒙恬から、真剣な眼差しを向けられる。

感情が波立ったあまり、歯止めが利かずに言葉を吐き出してしまった自覚はあったが、今さら撤回する気にはなれなかった。

自分に非はないのは確かだし、言葉を撤回すれば、蒙恬が自分以外の女性と関係を持とうとするかもしれない。

自分との婚姻が決まってから、蒙恬はそれまで築いていた女性との交流を一切絶ったというが、家庭教師の女性が現れたことで、信の中に不安な気持ちが戻って来てしまった。

妾を持つのは蒙恬の意志で決めることだが、彼が自分以外の女性を娶る選択をすると思うと、嫉妬で胸が締め付けられ、苦しくて堪らない。

こんな子供じみた嫉妬を露わにすれば、蒙恬に見放され、彼の気持ちはますます他の女性の方を向いてしまう。頭では理解しているのに、止められそうになかった。

先日、宮廷で昔助けた令嬢と蒙恬が恋仲だったと勘違いした件もあり、しっかりと蒙恬の話を聞くべきだという反省をしたばかりだというのに、信は後に引けなくなっていたのである。

「っ…う、うるせえッ!本気で言ったんだ!」

撤回するつもりはないと、信は蒙恬の言葉を踏み倒す。振り上げた拳を下げ切れなかった自覚は十分すぎるほどあった。

それどころか、素直に言葉を撤回すればよかったものの、嘘を重ねてしまった。

「っ…」

気まずさに耐え切れず、信はその場から逃げ出そうと蒙恬に背中を向けた。
戦場では安易に背中を見せてはならないと養父から厳しく言われていたのに、この気まずさにはとても耐え切れそうにない。

「信」

「っ…」

後ろから手首を掴まれたので、信は反射的に振り返ってしまう。

腕を掴む手を振り解こうとしたものの、すぐ目の前に蒙恬の整った顔が迫っていたことに驚いた信は隙を見せてしまった。

 

 

「大人げないのは分かってるけど、さすがに俺も怒ったよ」

それまで信の手首を掴んでいた蒙恬の手が、信の着物の帯を外しにかかったので、信はぎょっとしてその手を抑え込んだ。

「な、なに考えてんだよッ!おいっ!?」

声を掛けても蒙恬がやめる気配はなく、帯を強引に外された。さらにはその帯を使って信の両手首を一纏めに縛り上げてしまう。見事な手捌きだと見惚れてしまいそうなほど、その動きは素早かった。

「外せよッ!」

「さっきの言葉を撤回してくれるなら、外してあげる」

そんな言葉を掛けられるとは思わず、信は目を逸らしてしまう。本心ではないと自覚はあったのだが、今さら撤回することは出来なかった。

なんとか手首を拘束する帯を解こうとするものの、あの短時間でどんな手を使ったのかとこちらが問いかけたくなるほど結び目は頑丈だった。もしかしたら拘束をすることに慣れているのだろうか。

蒙恬の気迫に負けてたまるかと、信は力強く睨み返した。

「お前こそ、話を逸らしてんじゃねえ!あの女を正妻にしたいならそう言えよ!」

「そんなこと思ってない。それに先生は…」

否定されるものの、きっと裏があるに違いない。納得できるかと信は蒙恬の言葉を聞き入れなかった。

「言い訳考えてんなら無駄だぜ。お前の初恋相手なんだろ?隠さずにそう言えばいいだろッ!」

頑なにあの女性のことを教えようとしない蒙恬に、信は声を荒げた。

初恋相手であったことは昔聞いていたし、彼女に向けている想いがまだ残っていたとしてもおかしいことではない。初恋というのは、実ろうが散ろうが、ずっと心に残るものだからだ。

それに、夫が妾を娶ると決めたのなら、妻にそれを拒否する権利はない。それは蒙恬も分かっているはずなのに、どうしてあの女性の関係を隠そうとするのか、信には彼の考えが少しも分からなかった。

そんな信の気持ちを知ってのことなのか、蒙恬は真っ直ぐに目を見据えて来た。

「…俺のことを信じて、もう少しだけ待ってて欲しい」

両肩を掴まれて、縋るように訴えられる。

しかし、信は首を横に振った。

「こんな時に信じろなんて、都合の良いこと言うなよっ…!本当は、あの家庭教師を…妾じゃなくて、正妻にしたかったんだろ?」

信の言葉に、蒙恬が体の一部が痛んだように眉根を寄せる。それから目を逸らし、蒙恬は暗い表情で溜息を吐いた。

(やっぱり、そうなんじゃねえか)

それが肯定だと分かり、心臓を鷲掴みにされるような感覚に息を詰まらせた。

喉がつんと痛み、瞳に涙が溢れて来る。泣き顔を見られたくなくて、信は俯くと、前髪で顔を隠した。

 

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喧嘩 その二

「んッ…!?」

込み上げて来る嗚咽を噛み堪えていると、強引に唇を重ねられた。何をするんだと開きかけた口に無遠慮に舌が入り込んで来て、信の舌を絡め取る。

「んんっ、ぅっ、ん」

咄嗟に身を捩って口づけをやめさせようとしたものの、逆に抑え込まれてしまい、壁に背中がぶつかった。逃げ場を失ってしまったことを悟る。

それならばと蒙恬を突き放そうと伸ばした両手も、呆気なく捕らえられてしまった。帯で拘束されたままの両手は少しも使い物にならない。

ぬるりと舌が入り込んで来て、歯列をなぞり、舌を吸われる。下腹部が切なく疼き始めて、まずいと信は顔をしかめた。

「っ、んんーっ、ぅッ…!」

このまま口づけが続けば、足腰から力が抜けてしまい、蒙恬が欲しくて堪らなくなってしまう。

信の言葉に傷ついたと話していたのは本当のようで、普段よりも強引な口づけと手つきは、普段の蒙恬とは別人のようだった。

「あ、はあっ…」

息が苦しくなった頃にようやく蒙恬が顔を離してくれた。唾液の糸が互いの唇を繋いでいたが、それも逃がすまいと蒙恬が舌を伸ばす。

「っ…」

肩で息をしながら睨みつけたものの、蒙恬の冷え切った瞳に見据えられ、信は思わず身震いしてしまう。

普段は誰にでも慕われる優しい表情をしているというのに、普段見ることの少ないその冷たい瞳に見据えられると、それだけで足が竦んでしまいそうになる。

蒙恬が初陣に出る前は、少しも彼に怖いなどという感情を抱いたことはなかったというのに、この威圧感はやはり蒙家の血を継いでいることを認めざるを得ない。
しかし、ここで怯めば蒙恬に負けたことになってしまう。

罪悪感はあったが、振り上げた拳を下げ切れなかったのは事実だし、今さら発言を撤回する気にはなれなかった。信は両足にしっかりと力を入れて、蒙恬を睨みつける。

「信、なにがそんなに気に食わないの?」

蒙恬といえば信に睨まれても少しも怯む気配を見せなかった。そういえば蒙恬が本気で怒ったところを今まで見たことがない。

声を荒げたり、手を上げるような短慮な性格ではないことは分かっていたが、いつも冷静に物事を見ており、感情よりも理性を優先する男だからだ。

だが、今目の前に立っている蒙恬は、表情こそ普段通りに見えるものの、その瞳からは静かな怒りが伝わって来る。

さすがにこれ以上、彼の怒りを煽るのはまずいと頭では理解しているものの、家庭教師の女性のことを教えてくれないのなら、このまま引くに引けない。

「…あの女を娶るなら勝手にしろよ!正妻に迎えたいっていうんなら、さっさと俺と離縁すれば」

不自然に言葉が途切れたのは、再び蒙恬が唇を重ねて来たからだった。

 

 

今度は先ほどと違って、まるで獣が餌に食らいつくような口づけだった。

信の意志など構わないと言わんばかりに唇を押し付け、口内で逃げ惑う舌を絡めて来る。
先ほどよりも激しい口づけに眩暈がしそうになり、下腹部の疼きが激しくなる。

壁に信の体を押し付けた状態で、蒙恬は彼女の両脚の間に自分の片脚を滑り込ませた。

「んんッ、ん、ぅーッ」

激しい口づけを続けながら、敏感なそこを蒙恬の長い脚がくすぐる。小刻みに片脚を動かされる度に、信は切ない声を鼻から洩らした。

「あっ、はあっ…ぁ…」

ようやく唇が離れて、信が肩で息をする。
上目遣いで蒙恬を見上げると、彼はいつものような人懐っこい笑顔ではなく、褥でしか見せない妖艶な笑みを浮かべていた。

(まずい)

急いで逃げなくてはと、信は冷や汗を浮かべた。彼がこれから何をしようとしているのか、信は手に取るように分かった。

こんなことで家庭教師の件をうやむやにされるのは嫌だったし、蒙恬への信頼を失いかけているこんな状況で彼に体を暴かれるのはもっと嫌だった。

「は、放せよッ」

甘い刺激に力が抜けそうになる体に喝を入れて、何とか逃げ出そうと抵抗を試みる。しかし両手首を一括りに拘束された状態では、蒙恬を押しのけることも叶わなかった。

「うわッ!?」

信の抵抗を嘲笑うかのように、蒙恬は膝裏と肩に手を滑らせて、彼女の体を横抱きに持ち上げた。急な浮遊感に驚いて声を上げてしまう。

軽々と抱き上げられた体を、部屋の奥に設置されている寝台に落とされる。すぐに自分の体に馬乗りになって来た蒙恬に、信は青ざめた。

「お、おい、こっちは縛られてんだぞ?まさかお前、自分の妻を辱めようってのか?」

がむしゃらに抵抗しても蒙恬が見逃してくれないことは分かっていたので、信は彼の良心に呼びかける作戦に変更した。

しかし、信よりもはるかに聡明な頭脳を持ち合わせている蒙恬は、すぐにその作戦に気づいたらしい。

「だって、俺のこと嫌いなんだろ?離縁してもいいくらいに」

離縁という重い言葉を持ち出され、信は奥歯を噛み締めた。
先ほど自分と離縁して家庭教師を正妻に迎えればいいと言ったことを根に持っているのだとすぐに察した。

しかし、今さら発言を撤回することは出来ない。

「くそッ、どけよ…!」

何とか蒙恬の下から逃げ出そうとするのだが、両手が拘束されているせいで上手く体を動かすことが出来ない。

ならば拘束されていない両脚で抵抗を試みる、ことはしなかった。

容赦なく蹴り飛ばすのはきっと簡単だし、たかが両手を拘束されただけで男に屈するほど信は貧弱でないはずなのに、相手が蒙恬だと思うと本気で抵抗が出来ない。

傷つけたくないという気持ちが信の足に枷を巻いているのだ。

 

拒絶

「嫌なら本気で抵抗したら?」

言葉ではそう言いながら、まるで信が本気で抵抗出来ないことを分かっているかのように、蒙恬は妖艶な笑みを浮かべた。

「そうじゃないと、このまま続けるよ」

低い声で囁いた蒙恬は、彼女の拘束された両手を頭上で押さえつける。

「いやだ!」

そのまま蒙恬が口づけようと顔を寄せて来たので、信は咄嗟に顔を背け、拒絶の意志を示した。

「俺のこと蹴り飛ばしてでも逃げなよ。本当に嫌なら出来るだろ?」

両手を拘束した上に、もともと埋まらない男女の力量差は確かにあるものの、本気を出せば自分を押しのけることなど容易いはずだと、蒙恬は信の拒絶の意志が本物か確かめているらしい。

「もしかして、嫌がってる演技してるだけ?」

「ちがうッ…」

「本当かなあ?」

柔らかい唇が首筋に押し付けられて、信は顎が砕けるくらい歯を食い縛った。

帯が解かれてしまったせいで、簡単に着物の衿合わせが開き、形の良い胸に蒙恬は顔を寄せて、赤い舌を覗かせる。

「あっ…」

ぬるりとした感触が胸の先端を撫ぜた時、信は思わず声を洩らしてしまった。

反応すれば彼を楽しませるだけだと分かっているのに、幾度も身を重ねていたせいか、少しの刺激でも体が反応してしまう。

上目遣いで蒙恬が信の反応を楽しみながら、乳輪をなぞるように舌を這わせて来る。

今思い出したのだが、家庭教師の女性がこの屋敷に居候するようになってから蒙恬と体を重ねることがなかった。久しぶりの愛撫に体が喜んでいるかのように、ぞわぞわとした甘い痺れが背中に走った。

「うッ…」

咄嗟に目を瞑って蒙恬を視界から消して声を堪えようとするのだが、どうやらこの反応さえも蒙恬は楽しんでいるようで、小さく笑う声が聞こえた。

 

 

蒙恬の手が信の豊満な胸の感触を味わうように優しく包み込む。

男にしては小綺麗な指先が敏感な先端を優しく突いたり、挟んだりしていくうちに弄りやすくなっていく。

「っ…ん、…ぅ、…」

蒙恬の手が、指が、舌が、肌の上や敏感な胸の芽を這う度に下腹に切ない疼きを感じる。唇を噛み締めて懸命に声を堪えていると、蒙恬が不思議そうに小首を傾げた。

「…あれ?逃げないの?」

からかうように耳元で囁かれ、信は顔から火が出そうになった。

「ッ!」

反論しようと口を開いた途端、蒙恬の手が脚の間に伸ばされたので、驚いて声を喉に詰まらせてしまう。

足の間に差し込まれた指から湿り気と熱気を感じ、蒙恬が僅かに目を細めた。

「信の考えてること、全部分かってるよ」

胸やけを起こしそうなほど甘い言葉を囁かれるものの、信は必死に首を横に振った。

きっと他の女ならばすぐにでも蒙恬に我が身を委ねるだろうが、今の信は違う。
嫌だと言っているのにやめてくれない蒙恬を拒絶し切れない自分の甘さに対する怒りや、体を重ねることで家庭教師の件をあやふやにしようとしているのではないかという不信感で頭がいっぱいだった。

「ひ、あっ…!」

蜜を滲ませている其処に蒙恬の長い指が入り込んで来て、信は思わず体を仰け反らせた。

初めて身を繋げた時はあんなに痛かったのに、何度も蒙恬の男根を受け入れた其処は指じゃなくて別のものがほしいと涙を流し続けている。

「最近シてなかったから、ちゃんと慣らしておこうね」

「ううっ」

中を広げるように蒙恬が指を動かしたので、その刺激に連動するように信は身を捩った。蒙恬が指を動かす度に卑猥な水音が響き、自分の体を浅ましく思ってしまう。

蜜を零し続ける中と信の反応を見ながら蒙恬が指の数を増やしていく。三本の指が中を弄り、それがゆっくりと引き抜かれて、両膝を持ち上げられた時、次に何をされるのかを察した信は思わず叫んでいた。

「やだあっ、挿れんなッ、バカッ!」

子どものように泣きじゃくりながら、思い出したように抵抗を試みる。
やっと拒絶の意志が伝わったのか、今まさに男根を挿入しようとしていた蒙恬がぴたりと動きを止めた。

淫華は蜜でぐずぐずぐに蕩けて男根を求めており、男根の先端を飲み込もうと口を開いていた。

蒙恬が腰を前に押し出せば、こんな抵抗もどうせ無駄に終わると思っていたのだが、彼は動きを止めたまま、信を見下ろした。

「それじゃあ、我慢比べしようか」

「へ…?」

蒙恬の言葉がすぐには理解できず、信は呆けた顔で聞き返す。

淫華が男根を欲しているように、男根も淫華に食われたいと苦しいまでにその身を曝け出しているというのに、蒙恬は挿れようとしなかった。

「我慢出来なくて俺が挿れちゃったら信の勝ち、信が欲しいって言ったら俺の勝ち。単純でしょ?」

簡潔に我慢比べの詳細について語った蒙恬に、信はただ疑問符を浮かべる。なんのためにそんなことをするのだろうか。

荒い呼吸を繰り返しながら呆然としていると、蒙恬が腰を引く仕草を見せたので、そのまま挿れられるのではないかと信は慌てた。

「えっ、あっ、挿れんなって!」

「挿れないよ。我慢比べだもん」

「っうぅ…!」

硬くそそり立った男根を淫華に挿れることはなく、花芯を擦り上げるように、蒙恬が腰を前後に動かし始める。すでに勝負は始まっているらしい。

言葉で理解出来なかった信も、その行動に意図を理解した。これは本当に我慢比べだ。
どちらかが相手を求めてしまったら、その時点で勝敗が決まるという、確かに単純なものである。

 

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「はあッ…あ…」

蒙恬も苦しそうに顔を歪ませて腰を動かしている。

本当は今すぐにでも淫華に男根を突き挿れたくてたまらないのだろう。信の膝裏を抱えている手から震えが伝わって来た。

「んうっ」

男根が花芯を擦り上げる度に背筋が甘く痺れる。
信が処女だと発覚してからというものの、その後の情事でも前戯は必ず時間をかけていた蒙恬であるが、こんな風に焦らされることはなかった。

こちらが欲しいと言えば素直に挿れてくれたし、蒙恬の方から挿れたいと求められることだって珍しくなかったので、経験したことがないもどかしさに信は戸惑った。

だが、いかに焦らされたところで、ここで欲しいと素直に訴えれば自分の負けである。家庭教師のことで腹を立てていた信は、絶対にこの勝負に負けるわけにはいかなかった。

「うっ、うぅ…」

敷布を握り締めて、信は歯を食い縛る。

蒙恬の男根から先走りの液が涎のように滲み出て、淫華の蜜と絡まり、卑猥な水音を立てていた。

耳まで犯されているような感覚に、体が勝手に期待で震えてしまう。

何度も蒙恬と交わった体が、目の前の彼を求めている。こんな状況でなければ焦らすなと怒鳴っていただろうに、それも出来ずに、信はただ歯を食い縛っていた。

 

決着

「んっ、んんっ…」

鼻から抜ける声を上げる信がその瞳に涙を滲ませているのを見て、蒙恬が余裕のない笑みを浮かべる。

「挿れてほしい?降参するならすぐに挿れてあげる」

「だ、誰がっ…、降参なんか、するかよっ…」

ここまで責め立てられても白旗を上げない信は、相当な頑固さを兼ね備えているようだ。
もちろん一筋縄では落とせないことは分かっていたが、ここまで素直にならないのなら、どこまでいったら限界なのかを確かめてみたくなる。

蒙恬は薄い笑みを顔に貼り付けたまま、信の淫華に指を差し込んだ。

「あっ、えっ…!?」

細くて長いそれが男根ではないと分かり、信が戸惑ったように眉根を寄せる。

「ひっ、卑怯だぞッ、お前!」

「なんのこと?指は入れちゃだめなんて言ってないよ」

先ほど蒙恬が明かした我慢比べの詳細に、指は含まれていなかった。
とぼけるように小首を傾げた蒙恬に、初めからそういう作戦だったに違いないと直感する。

指で刺激なんかされたら、こちらが不利に決まっている。
今さら気づいてももう遅いのだが、やられたと思い、信は思い切り蒙恬を睨みつけた。

「んんッ」

淫華の中で指を鉤状に曲げられて動かされ、信の腰が勝手に跳ね上がる。先ほどのように中を広げる動きではなく、確実に弱い箇所を狙って来ている。

「指なんかじゃなくて、もっと別のが欲しい?欲しいよね?」

まるで信の気持ちを代弁するかのように、早く降参を誘導するような甘い言葉を掛けられる。

意地を張らずに素直に頷けば蒙恬は望むものをくれると頭では理解していた。それでも信は強く拳を握り締めて、拒絶の意志を示す。

「いら、な、ッ…!」

「強がらないで良いんだよ。信のここ、もうこんなになってる。俺が欲しいって泣いてるよ」

 

 

早く降参するように催促され、信は奥歯を噛み締める。

「ほ、しくないぃ…ッ」

少しでも気を抜けば事切れそうになる理性で必死に抵抗した。今の信は、手の平に食い込んだ爪の痛みと、屈したくないという自尊心だけで何とか意識を保っている。

「嘘吐き」

「ひぅっ」

耳元で低く囁かれたかと思うと、淫華の中にある指が腹の内側を突き上げる。

腹の内側の刺激だけでも目が眩んでしまいそうなのに、耳に熱い吐息を吹きかけられると、与えられる快楽から意識を逸らせない。

蒙恬に組み敷かれてしまった時点で信の敗北は確定していたのだろう。家庭教師に嫉妬をしていたのは事実だが、彼女を娶ると決めたのなら止める者は誰もいないのに、こんなことをして話をうやむやにしようとする蒙恬の事が許せなかった。

こちらの心情など露知らず、蒙恬は信の腰を引き戻して両膝を持ち上げた。

「えっ…?」

再び淫華に男根が宛がわれて、信の心臓がどきりと跳ねた。

先ほどのように花芯に男根を擦り付けようとする動きではなく、花弁を押し開いた中にある入り口にしっかりと男根の先端を宛がい、そのまま腰を前に押し出して来たのだ。

「ぁあっ、えっ、ぁ…?入って、…」

狭い其処を押し開かれていく感覚に信は狼狽えた目線を送った。

「うん、俺の負けで信の勝ち。喜んでいいよ」

「ぁああッ!?」

蒙恬の敗北宣言を理解するよりも先に、ぐずぐずに蕩け切った淫華に硬い男根が叩き込まれて、信は大きく体を仰け反らせた。

一気に最奥まで男根が叩き込まれて、信はその衝撃と全身を貫いた快楽に目を向いた。

 

事件

…翌日。信が目を覚ました時にはすでに昼を回っていて、蒙恬はすでに支度を済ませて部屋を出ていた。

どうやら情交の途中で気絶するように寝入ってしまっていたらしい。
蒙恬はその若さゆえか、性欲に歯止めが利かなくなって激しい情交になるので、いつも信は途中で意識の糸を手放してしまうのは珍しいことではなかった。

「はあ…」

寝台の傍に置かれていた水差しでからからになった喉を潤し、信は長い息を吐いた。

ずっと蒙恬の男根を咥え込んでいた下腹が疼くように痛んだ。あの美しい顔からは想像出来ない大きさなので、苦しいくらいに中を押し広げるのである。

寝具は掛けられていたのだが、肌寒さを覚えて信は用意されていた着物を身に纏った。

(そういえば…)

昨夜準備しておいた荷はどうなったのだろう。辺りを見渡したものの、木簡も着物を包んだ荷も見当たらない。屋敷に戻らないように片されてしまったのだろうか。

この屋敷で暮らすようになってから、身支度も侍女が手を貸すように蒙恬が指示していたのだが、信はそれを断っていた。下僕時代から身支度は自分で行うのが当たり前だったので、侍女たちにとても驚かれた。

蒙恬や王賁のような生まれた時から裕福な生活をしている者は、着物を着るのにも人手を必要とするらしい。

信も鎧を着るときには手を借りる時もあるが、生活をする上ではあまり他者の手を借りない。

王騎と摎の養子として引き取られた時は鍛錬漬けの毎日だった。名家の養子になったはずなのに、自分でやれることは何でも自分でやれと言われて育った。

とはいえ、腹が減ったら温かい飯が用意されて、頑丈な屋根の下、温かい寝具の中で眠れるだけで信は天にも昇るような気持ちだったので少しも気にしなかったのだが、それを伝えると蒙恬から悲し気な顔をされたことを覚えている。

「うーん…」

情交の疲弊がまだ残っており、体を動かすのが億劫だった。今日は部屋でゆっくり過ごそうかと考える。この部屋で過ごしていれば、蒙恬と家庭教師の女性が二人でいるのを見ることはない。

だが、姿を見ることがないだけで、二人が仲睦まじく過ごしているのではないかという不安が波のように押し寄せて来る。

(…ん?なんだ?)

外から騒ぎが聞こえて、信は導かれるようにして窓を開けようと起き上がる。寝台から降りるために、両足を床に着けた途端、腰に鈍痛が走った。

 

 

「ど、どうかお許しをっ!」

窓を開けると、狼狽えた男の声が響いて来たので、使用人が何か失態を犯して叱責を受けているのだろうかと考えた。

蒙恬は父・蒙武のような威圧感はなく、寛大な心の持ち主であることから、使用人たちの失態は大目に見ることがほとんどだ。
そもそも使用人たちも蒙一族という名家に仕えるにあたって、そのようなことが起きないように日頃から全員が努力している。

蒙恬は幼い頃からそれを傍で見ていたし、そんな彼が怒るということは本当に感情が波立った時なのだろう。

―――大人げないのは分かってるけど、さすがに俺も怒ったよ。

昨夜の喧嘩のきっかけとなった信の不本意な発言は、本当に蒙恬の機嫌を損ねてしまったのだろう。

嫉妬のせいで子供じみた言動をしてしまったことを後悔したが、今はそんな場合ではない。

(何の騒ぎだ?)

信は窓から身を乗り出して、男の声がする方を覗き込んだ。

ちょうど建物で遮られてよく見えない位置だったが、使用人たちが野次馬となってその騒動を見届けているのが分かった。

普段真面目に仕事をこなしている使用人たちが仕事を中断してまで野次馬をしているなんて珍しい。

同時にそれほど大きな騒動になっているのだと気づき、信は痛む腰を擦りながら、部屋を後にしたのだった。

 

更新をお待ちください。

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