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恋は毒ほど効かぬ(桓騎×信)番外編

桓信 恋は毒ほど効かぬ5
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  • ※信の設定が特殊です。
  • 女体化・王騎と摎の娘・めちゃ強・将軍ポジション(飛信軍)になってます。
  • 一人称や口調は変わらずですが、年齢とかその辺は都合の良いように合わせてます。
  • 桓騎×信/毒耐性/シリアス/IF話/All rights reserved.

苦手な方は閲覧をお控え下さい。

このお話の本編はこちら

 

帰還後の一人酒

※このお話は本編で割愛した屋敷帰還後のシーンです。

 

あとのことは配下たちに任せ、桓騎は信を連れて先に屋敷へと戻った。

罗鸿ラコウが用意した催眠の香は強力だったようで、強靭な精神力を持つ信でも、未だ目を覚ます気配がない。

一級品の嫁衣に身を包んだままである信を寝台に寝かせてやり、桓騎は小さく息を吐いた。

こちらの策略通りに進んだとはいえ、信が人質に取られるのは気分が悪いものだ。

罗鸿が出世のために、利用はしても信を傷つけることは絶対にないと確信していたため、今回の行動に踏み込めたが、もしも命の危険に晒されていたらと思うとそれだけで反吐が出そうになる。

しかし、信の命の危険など、心配するだけ無駄だと思った。彼女も自分と同じ将軍という立場である以上、次の戦で死ぬかもしれないのだから。

彼女を戦から遠ざける方法なら幾らでも知っているが、それは信の意志と反することだと分かっていた。

もしも彼女から戦を奪えば、きっと自分を愛してくれなくなることも桓騎は理解していた。
信が毒耐性と引き換えに子を孕めなくなったことは知っている。もしそうでなければ、早々に子を孕ませて戦場から遠ざけていたに違いない。

だが、自分たちの仲が深まったのは、毒耐性という奇妙な体質が共通していたからだ。

毒酒の味を分かち合うことがなければ、仲が深まることはなかっただろう。皮肉なものだ。作戦通りに終わったというのに、桓騎の気分は晴れずにいた。

(…後で飲み直すか)

湯浴みのあとに毒酒を飲み直そうと考えながら、桓騎は一度部屋を後にした。

 

 

湯浴みを終えてから部屋に戻っても、信はまだ寝息を立てていた。

気持ち良さそうに眠っている姿を見ると、どうしても起こす気にはなれない。
桓騎はもともと眠りが浅い方で、普段から信よりも先に目を覚ますことが多いのだが、彼女の寝顔は何度見ても飽きないものだ。

ご馳走を前にしている夢なのか、にやけている時もあれば、仲間たちと楽しく過ごしている夢なのか、穏やかに微笑んでいる時もある。

同じように戦場で多くの命を奪い、多くの別れを経験しているというのに、そういえば悪夢でうなされている姿を一度も見たことがなかった。

腹を満たした赤ん坊のような無邪気な寝顔を見せられると、寝込みを襲う気にはなれない。一級品の嫁衣で美しく着飾っていたとしてもだ。

…しかし、目の前の女を好きに扱ってしまいたいという欲求が湧き出るのは、今まさに理性と性欲が争っている証なのかもしれない。

彼女が目を覚ました時には、貸しを倍にして返してもらわなくてはと考えた。

気を紛らわすために、桓騎は戸棚から鴆酒の酒瓶と杯を手に取って席に着く。普段なら信と互いに酌をし合うのだが、今日は手酌で鴆酒を味わうことにする。

罗鸿の屋敷で蛇毒の酒を飲んだが、豪勢にもてなされるよりも、信と二人きりで他愛もない話に花を咲かせながら、静かに毒酒を味わう方が桓騎は好きだった。

もちろん仲間たちと飲む賑やかな酒も好きだ。しかし、信と毒酒を飲み合って過ごしている時間は、不思議と心が休まる。

常人からしてみれば、毒を飲んで安らぐだなんておかしな話だろうが。

 

副作用

ぐっすりと寝入っている信を見れば、きっと翌朝まで目を覚ますことはないだろう。
鴆酒を一瓶飲み干した頃、桓騎は自分もそろそろ休もうと椅子から立ち上がった。

「ッ…?」

くらりと眩暈を覚える。足元がふらついたことから、酒の酔いが回ってしまったのだと推察する。

しかし、体の内側が燃え盛るような灼熱感には覚えがあった。毒の副作用である。

(飲み過ぎたな)

再び椅子に座り込み、桓騎は長い息を吐いた。
桓騎の方が毒の副作用を起こすのは随分と久しぶりのことで、思い返してみれば、最後に副作用を起こしたのは、信が毒耐性を持っていると知るよりも前だったかもしれない。

罗鸿の屋敷で蛇毒の酒を一瓶空け、鴆酒までも飲んだのだ。普段より毒を多く摂取したせいだろう。

「ちっ…」

こうなれば副作用が収まるまで耐えるしかない。時間が経てば酔いが覚めるように、副作用もいつまでも続くわけではない。

もちろん性欲の暴走に対して、ひたすら女を相手にする方法もあるが、信は今眠っている。
眠っている彼女の身体を使って自慰に浸る方法も考えたが、信の体に触れてしまえば、きっと身を繋げずにはいられないだろう。

「はあ…」

自然と息が荒くなっていく。暑さを紛らわせようと襟合わせを開き、窓を開けて風を浴びてみるが、灼熱感が引く気配はない。

無意識に信へ視線を向けてしまうのは、身体が本能的に彼女を求めているからなのかもしれない。

薬で眠っている女を抱くことに抵抗はないのだが、信に限っては別だ。

副作用が治まるまでには、それなりに時間がかかる。情欲に駆られるまま信と体を重ねれば、早く副作用は落ち着くのは分かっていたが、倍増する性欲を発散すれば、彼女の体に負担を掛けてしまうことになる。

彼女が毒の副作用を起こした時には喜んで付き合うのだが、今日に限っては別だ。

「ちっ…」

井戸の冷水を頭から被れば多少は気が紛れるだろうと思い、桓騎は部屋を出ることにした。

立ち上がった拍子に、再び足元がふらついてしまう。咄嗟に机に手をついた途端、派手な音を立てて、空の酒瓶が床に転がってしまった。

「…ん…桓、騎…?」

その音を聞いて、どうやら信が眠りから目を覚ましてしまったようだ。
未だ眠そうな瞳を擦りながら、ゆっくりと寝台から身を起こした信を見て、こんな時に起きるなよと桓騎は内心毒づいた。

 

 

目を覚ましたばかりの信は、桓騎が苦しそうに息を荒げていることに小首を傾げていた。いつの間にか屋敷に戻って来ていることには少しも気づいていないらしい。寝起きでまだ頭が働いていないのだろう。

「どうした…?」

珍しく桓騎が苦しそうにしている姿を見て、心配そうに眉を寄せている。
隠すようなことでもないと顔に苦笑を浮かべながら、桓騎は椅子に腰を下ろした。

「…久しぶりに、毒が回った」

すぐには理解出来なかったようで、信が何度か瞬きを繰り返す。

「体…つらい、のか…?」

呼吸を乱しながら、桓騎は頷いた。
胸が締め付けられるように痛み、体の内側が燃えるように熱くなる。

「…ああ、辛い。どうにかなっちまいそうだ」

素直に答えると、信がはっとした表情になる。ゆっくりと寝台から降りて、近づいて来た彼女は心配そうに顔を覗き込んで来た。

それから導かれるように視線が下がっていく。

「あっ…?」

狼狽えるような声を上げてから、信は再び桓騎の顔を見た。
副作用を起こしてから、既に桓騎の男根は苦しいほどに張り詰めていて、早く触れてほしいと訴えているのだ。着物越しでも当然それは分かった。

「ま、待ってろ、今…」

そう言って、信は一級品の嫁衣が皺になるのも構わずにその場に膝をついた。迷うことなく桓騎の脚の間に顔を寄せると、着物越しに男根に触れる。

「っ…」

着物越しに信の手の平を感じて、桓騎は生唾を飲み込む。

屹立を確かめるように、信は手の平で何度か桓騎の男根を愛撫し、それから下衣に手を伸ばして来た。

「ん…」

下衣を引き下げて、現れた男根に、信は迷うことなく赤い舌を伸ばす。唾液を纏った舌が敏感になっている切先に触れると、沁みるような刺激が走って、思わず腰が震えそうになった。

 

赤い舌が先端をくすぐるように突いて、ざらついた舌の表面が陰茎を這う。根元に指を絡ませながら、何度も舌が陰茎を往復していく。

裏筋を刺激するように、尖らせた舌先が這うと、喉が引き攣るほど気持ちが良かった。

時折上目遣いでこちらの反応を確かめて来るのも堪らない。
挑発的な視線も好みだが、自信なさげにしている生娘を思わせるその視線も、全てが今の桓騎には刺激的だった。

「ん、ぅ…」

紅で瑞々しく象られた唇を開き、男根を咥え込む。
淫華とは違った肉襞が吸い付いてきて、桓騎は思わず歯を食い縛る。そうしないと呆気なく彼女の口の中で果ててしまいそうだった。

惚れた女が自分の脚の間に顔を埋めている官能的な光景に、顔が燃えるように熱くなる。

信が頭を動かす度に、口の中から滲み出る唾液が淫靡な水音を立てた。桓騎の荒い呼吸と、淫靡な水音が室内に響き渡る。

「んんぅ…ん…」

鼻で必死に息をしながら、信は奥まで男根を深く飲み込んだ。
喉を突かれれば苦しくなるのは分かっているだろうに、信は涙目になってさらに奥まで咥えようとする。

男根が喉奥できゅっと締め付けられると、甘い快楽が体の芯を走り抜ける。

「ッ…!」

情けない声が洩れそうになり、桓騎は力強く歯を食い縛って、首筋に幾つも筋を浮かべた。

堪えることなく、彼女の口の中で精を放って楽になりたいという欲望と、いつまでもこのまま快楽に浸っていたいという気持ちが鬩ぎ合う。

「ん、ん、んむっ、ぅ…」

頭を前後に動かして、信は桓騎の男根を唇で扱く。時折、頭を動かすのをやめて強く吸い付いて来るものの、舌は休むことなく動き回っていた。

桓騎を副作用の苦しみから救うため、懸命に口で奉仕をする信の姿を見るだけで、もう堪らなかった。

吐精欲の衝迫に目の奥が燃えるように熱くなる。

「はあ、…ぅ、く、ッ…!」

腹の奥から、四肢がばらばらになってしまいそうな衝動にも似た喜悦が駆け上がっていくのが分かった。

膝と腰が震え出し、桓騎は咄嗟に信の頭を抱き込んでいた。

「う、んんッ」

頭を抱き込まれた信が男根を深くまで飲み込む。彼女の喉奥で精を吐き出しながら、桓騎は獣のように息を荒げていた。

「う”……、ぅう、ん…」

果てたばかりの男根を咥えたまま、切なげに信が眉根を寄せて、桓騎を見上げた。

その加虐心を煽られる視線を向けられるだけで、男根が再び硬くなっていく。
例え毒の副作用を起こしていなかったとしても、その表情だけで情欲に駆られてしまう。信のこんな表情を前にすれば、男なら全員そうなるだろう。

絶対に彼女を誰にも渡すまいと桓騎は心の中で誓った。

「ふ、は…」

ゆっくりと信が男根から口を離すが、口の中には吐き出したばかりの精液が溜まっていた。

「んっ…」

少しも躊躇うことなくそれを嚥下した信に、桓騎は褒めるように頭を撫でる。

男が吐き出した子種など味わうものではないと嫌悪して吐き出す者も多いというのに、信は違った。

まるで馳走や甘味でも口にしているかのように、嬉々として精を飲み込む彼女に、気になって理由を尋ねたことがある。

決して他の男の精を飲んで比較した訳でないことを前提に、信が恥ずかしそうに話してくれたのだが、どうやら彼女にとって、桓騎の精は毒酒に近い味らしい。

普段から毒物を嗜好品として摂取している影響で味に変化があるのだろうか。美味そうに飲み込む信を見ても、さすがに自分の精の味など知りたくはなかった。

「んん…」

まだ足りないと言わんばかりに、信は尿道に残っている精まで吸い尽くし、芯を取り戻したばかりの男根に舌を這わせていく。

「もういい」

このまま副作用が落ち着くまで、彼女の口淫がもたらす快楽に浸る方法もあったが、桓騎は一刻も早く身を繋げたくて堪らなくなっていた。

もう彼の表情には、余裕など微塵も残されていない。

この情けない顔を見せたのは、恐らく後にも先にも信だけだろうと桓騎は思った。

模擬初夜

寝台に彼女を運ぶ余裕さえも残されておらず、桓騎は発情した雄の瞳で信を見下ろした。

「乗れ」

椅子に腰を掛け直した桓騎が指示を出すと、それまで脚の間に顔を埋めていた信がゆっくりと立ち上がる。

赤い嫁衣には眠りの作用がある香が焚かれていたようだが、今は茉莉花の甘い繊細な香りだけが感じられた。いつまでも催眠の作用は持続しないらしい。

その香りを嗅ぐだけでも、桓騎の情欲は酷く煽られた。信が自分の体を跨ぐのを待ち切れずに、その細腰を引き寄せる。

「ちょ、ちょ、っと、待てっ」

信は両腕を突っ張って桓騎を制する。まさかここでお預けを食らうとは思わず、桓騎は眉間に不機嫌の色を露にした。

もちろん自分は犬ではないので待てなど出来ないし、命じられたとしても従う義理はなかった。

「お、お前の、デカいから、ちゃんと…しとかないと、その…苦しいんだよ」

顔を赤らめた信が視線を逸らしながらそう言ったので、桓騎は呆気に取られる。

中を指で解して広げておかないと、桓騎の男根を咥え込むのが苦しいのだそうだ。痛いではなく苦しいと言った彼女に、もはや破瓜を破った時の面影は残されていなかった。

破瓜を破った時は、信が毒の副作用を起こしていたため、それほど強い痛みを感じていないようだったが、初めて男を受け入れて女になった信の変貌ぶりは今でも思い出せる。

「っ、おい…!」

嫁衣の中に手を忍ばせ、脚の間に指を這わせると、信の体がぴくりと跳ねる。熱気と湿り気のある其処は既に蜜が溢れているのが分かった。

なんとか口角を持ち上げて、桓騎はなけなしの余裕を繕った。

「こっちはもう準備出来てるじゃねえか」

「ま、まだ、だって…」

信は桓騎と体を重ねることを嫌悪しているわけではない。
しかし、何をしてほしいか具体的に言葉に出さないあたり、羞恥心が抜け切れていないことが分かる。あどけなさを残しているところも愛おしかった。

「んッ、うぅ…」

淫華の入口をそっと指の腹で擦ってやると、信が切ない声を洩らした。これだけ濡れていれば唾液を利用する必要もなさそうだ。

桓騎がいつだって爪を短く整えているのは、いつ何時であっても信と身体を重ねても問題ないようにしているためで、彼女の内側を傷つけないようにする配慮だった。

もちろん信自ら淫華を指で解す姿も、桓騎にとっては目で味わうご馳走なのだが、今はその姿を観賞している余裕などない。

「あっ…」

入り口を見つけ、そこを指で突く。抵抗なく指を飲み込んでいくが、いつも桓騎の男根を飲み込み、とっくにその形を覚えているはずの其処は確かにまだ狭そうだった。

しかし、滑りが良いせいか、根元まで桓騎の指を飲み込んだ淫華は、さらに指を奥へ引き込もうとするかのように締め付けて来る。

こんな小さな口にいつも男根が食われているかと思うと不思議で堪らなかった。

「あっ、や…」

中で指を動かす度に、信の腰がくねる。
逃がさぬように細腰を抱き込んで中を弄っていると、両方の膝が笑い出し、立っているのが辛くなって来たようだった。

「う…」

前のめりになって椅子に腰かけている桓騎の肩にしがみついて来る。
縋るものを探して抱きついて来る信が愛おしくて、早く彼女の淫華に食われてしまいたいという気持ちが切迫した。

 

「はあ、あっ、ぅッ…」

余裕のなさが指に伝わって彼女の中を傷つけないよう気をつけながら、桓騎は中を広げるようにゆっくりと指を動かした。

指を動かす度に蜜がどんどん溢れて来て、淫華はすっかり奥まで濡れていた。
卑猥な水音に鼓膜を犯され、腰をくねらせる信を見れば、それだけで達してしまいそうになる。

信の反応を見ながら指を増やしていき、三本目をその腹に受け入れる頃には信の顔も蕩けていた。口の端から飲み込めない唾液が滴り落ちていて、唇を艶やかに輝かせている。

淫らなその表情を目の当たりにした桓騎は生唾を見込み、信の頭を抱き寄せて、貪るように唇を重ねた。

「んんっ、う…んッ、ぅう」

舌や唾液に吸い付き、舌先で歯列をなぞってやると、信も激しい口づけに応えるように舌を伸ばして来た。

口づけを交わしながら指を引き抜くと、彼女の細腰を掴んで引き寄せる。熱い吐息を掛け合いながら、向かい合うように信を膝の上に跨らせた。

「は、はあっ…」

立ち膝でいる彼女の脚の間にある、先ほどまで指で解していた入り口に、男根の切先を押し当てた。

そのまま腰を下ろせば一つになれるというのに、抵抗しているつもりなのか、信は恥ずかしそうに顔を背けて腰を下ろそうとしない。

「おい、とっとと腰下げろ」

いつものように乱暴な口調で指示をすると、信は切なげに眉根を寄せながら首を横に振った。

嫌がっているような素振りは見られないが、まさか焦らしているつもりなのだろうか。

「あっ、よ、汚れる…!」

嫁衣が汚れてしまうと、今さら心配し始める信に、桓騎は笑いそうになった。
もうとっくに汗を吸い、皺だらけになっているというのに、今さら汚すのがなんだというのか。

「今さらだろ。心配なら口で咥えとけ」

手を使えと言わなかったのは、どうせこの後に両手を首に回して来るだろうと思っていたからだ。

「う…」

言われた通りにお互いの下半身を覆い隠している嫁衣を持ち上げて、信は口に咥える。

汚れるのを心配しているくせに、唾液で汚すのは構わないのだろうか。もう信もあまり頭が働いていないらしい。

「これなら良いだろ」

彼女の心配事は一応取り除いてやったことだし、これ以上のお預けを食らうのはごめんだった。

「ふ、ぅうッ…」

ぶるぶると内腿を震わせながら、信が腰を下ろしていく。ゆっくりと花弁を押し開いて男根を飲み込んでいく光景はいつ見ても官能的だった。
まるで結合部を見せつけているようにも感じて、桓騎の情欲が一層煽られる。

「んんんーッ」

自重によって根元まで男根を飲み込むと、嫁衣を咥えたままでいる信が鼻息を荒くしていた。背中に回されている信の腕に、ぎゅうと力が入る。

「はあ…」

すぐにでも腰を動かしたくて堪らなかったが、男根が彼女の中で馴染むまでは決して動かない。

それは信の破瓜を破った時から、決まりごとに縛られるのを何よりも嫌う桓騎が一度も反したことのない暗黙の規則だった。

 

模擬初夜 その二

着衣のまま体を繋げるのは初めてではなかったが、嫁衣を着た信を観るのは初めてのことで、桓騎はその姿を目に焼き付ける。

宴や畏まった席に出る時の着飾った信も魅力的だが、婚儀の時にしか着ることの出来ない赤い嫁衣は特別だった。

他の女を抱く時にはお目にかかれない割れた腹筋も、筋肉で引き締まった内腿も、桓騎の情欲を煽る要素でしかなかった。

「んッ、く…ん、ふッ…」

桓騎と繋がっている部分に嫁衣が落ちないようにと、歯を食い縛ったのが分かった。

中で男根が馴染んだのを確認してから、桓騎は信の細腰を抱え直す。

「ふうっ…」

腹に深く埋まっていた男根の位置が変わり、信が思わず熱い吐息を洩らした。

口に嫁衣を咥えたまま、信は桓騎の肩を掴んでいた手を首に回し、強く抱きついて来る。
まるで胸を押し付けられているようにも思えて、桓騎は堪らず、目の前の柔らかくて豊満な胸に吸い付いた。

「んんっ、ふ、ぅうー」

すでに芽はそそり立っており、上下の唇で挟んで、舌で押し潰すように口の中で転がしてやると、信の腰が小さく跳ねた。

連動するように男根を食らっている淫華が口を窄める。

何か言いたげに、信が桓騎を見つめて来る。普段から口が自由に使えるのだが、今日は違う。熱い息と共に吐き出されるくぐもった声は桓騎の鼓膜を心地よく震わせてくれた。

堪らなくなって、つい胸の芽に軽く歯を立ててしまう。

「ふうッ、んーっ」

女の体とは面白いもので、身を繋げたまま、新たな刺激を与えれば、男にさらなる極上の夢を見せてくれる仕組みになっている。

もともと余裕がなくなっていた桓騎は、目の前にある信の豊満な胸に吸い付きながら、腰を突き上げた。

二人の身体が揺れるのに合わせて椅子が軋む。
抱き締めている信の体は赤い嫁衣に包まれていたが、布越しでも彼女の体が熱く火照っているのが分かった。

「信ッ…」

すでに一つになっているというのに、まだ繋がりたくて、桓騎は信の体を強く抱き締める。

淫華に男根が食われているように、他の部分も彼女の皮膚の内側にいきたい。身も心も、何もかもを彼女に全て捧げたかった。

 

 

夢中で腰を突き上げる度に、二人の息はどんどん荒くなっていく。
絶頂に駆け上っていくこの感覚は、他の何にも代えがたいものであって、特別な時間だった。

「んんっ、あッ、か、桓騎っ…!」

いよいよ嫁衣を咥えていられなくなったらしい信が口を開けて、肩で息をしている。もう嫁衣の汚れなど気にしていられないらしい。

信の体を突き上げる度に、男根の先端に柔らかい肉壁がぶつかる。

それが毒耐性を手に入れる代償でもう機能を果たしていない子宮だと分かると、桓騎はさらに奥へ進もうと信の体を抱き込んだ。

「うああッ、あっ、んうッ、ま、待っ、ぇ…!」

機能を果たしていないと言っても、子を孕むことが出来ないだけだ。
指や硬い男根の切先で其処を突かれると、それだけで信はどうしようもなくなってしまうので、ここは女の共通した弱点だと言っても良い。

そして弱点といえば、もう一つある。桓騎は嫁衣の中に手を忍ばせると、鋭敏になっている花芯を指の腹で擦ってやった。

「やああッ」

「ッ…!」

悲鳴に近い声が上がるのと同時に、信の体が大きく跳ね上がる。食い千切られるように淫華が男根を締め付けて来たので、桓騎も思わず歯を食い縛って、快楽の波に意識が攫われないように何とか堪えた。

信は男根で奥を突き上げながらここを弄られるのが弱いのだ。

破瓜を破った時もこうして責め立て、初めて絶頂を迎えた時の信の姿はよく覚えている。

「はあっ、ぁっ、うう、か、桓騎っ…桓騎…!」

涙を流しながら、信が縋りつくように体を預けて来る。お互いにもう限界が近いことは察していた。

花芯を擦りながら、より一層激しく腰を突き上げる。

「あっ、は、あぁ、ああーッ」

髪を振り乱して喜悦の声を上げた信が、桓騎の背中に爪を立てて来る。全身を貫く快楽に、下腹部まで痙攣を起こしていた。

「ッ…!」

淫華が子種を求めてきつく男根に吸い付いて来る。体の内側で何かが大きく弾けた感覚があった。

続けて燃え盛るような欲望と、目も眩むような強い快感が腹の底から沸き上がる。
さざ波のように、快楽が体の芯を突き抜けて遠ざかっていくまで、桓騎は信の体を抱き締めたまま動かなかった。

 

恋人の毒

互いの呼吸が落ち着いてからも、二人はまだ身を繋げたままでいた。

顔に疲労を滲ませた信が桓騎の膝から降りようとするが、桓騎は細腰を両腕でしっかりと抱き寄せて放さない。

まだ情事を続けようとしていることに気づいたのか、信が顔を赤らめて上目遣いで睨んで来た。

「も、もう良いだろっ…」

「まだ治まんねえな」

それは嘘ではなかった。未だ信の淫華に飲まれている男根は再びを芯を取り戻し始めている。

「うう…」

腹の内側で桓騎の男根が硬くなったことを感じ、信が狼狽えた視線を向けた。

副作用が起きたばかりの時の苦しみは多少和らいだが、まだ物足りなさを感じる。桓騎は信の後頭部を掴んで、強引に唇を重ねた。

 

「んんっ…う…」

言葉に出さずとも、まだ足りないという桓騎の想いを信は察したようだった。口内に差し込んだ舌に、信がおずおずと舌を絡ませて来る。

彼女が毒の副作用を起こした時は症状が落ち着くまで何度も付き合ってやっているというのに、立場が反対になると、信は羞恥心が消えないせいなのか、たかだか数回で終わらせようとする。

しかし、そのうち信の方から桓騎を求めて泣きながら腰を振るようになるのは、桓騎の体を通して間接的に毒を摂取しているからなのだろうか。

精液が毒酒の味に近いというのなら、唾液や汗だけでなく、吐息にさえも毒の成分が含まれているのかもしれない。

もしそうなら、信が副作用を起こした時に、症状を落ち着かせるために身を重ねた桓騎自身も興奮が止まないのも頷ける。

…つまりは、信の方も今まさに桓騎という毒を摂取しているというワケだ。

「はあっ…」

長い口づけを終えると、信が惚けた表情で桓騎のことを見つめて来た。
物足りなさを訴えていたのは桓騎の方だったのに、信の双眸からもっとして欲しいという意志が伝わって来る。

もう嫁衣の汚れも乱れも気にする余裕がなくなっているようで、信は桓騎の首に再び腕を回して抱き着いて来た。

「ふ、…ぅ、んんっ…」

肩に顔を埋め、信が腰を前後に揺すり始める。
これはもう桓騎という毒に呑まれたと言っても良いだろう。

恋という感情を少しずつ膨らませていくよりも、流し込んだ毒で支配してしまう方が手っ取り早く、それでいて強力だ。恋という感情を実らせるのならば、先に相手を毒で支配をしてからでも遅くはない。

そんな関係を、他者から狂っていると言われたのならば、その通りだと嘲笑うだろう。
自分たちの頭と体はいつだって、互いの毒で犯されているのだから。

「信」

「んっ…」

耳元で熱い吐息を吹き掛けながら名前を囁くと、それだけで信の体がぴくりと震えた。

赤い嫁衣を身に纏っている信を見れば、まるで婚儀の後の初夜を連想させる。
もちろん信の破瓜を破ったのはとっくの昔だが、いつもよりも新鮮な気持ちで彼女を抱くことが出来るのは嫁衣のおかげだろう。

こればかりは罗鸿ラコウに感謝しなくてはと頭の隅で考えたものの、淫らな表情を浮かべている信の熱っぽい瞳と目が合った途端、そんなことはすぐに忘れてしまうのだった。

 

後日編「~奪い得た財産の使い道~」(2900文字程度)はぷらいべったーにて公開中です。

番外編①(李牧×信)はこちら

番外編②(桓騎×信←王翦)はこちら

番外編④(桓騎×信)はこちら